喫煙はからだに良いの?
12月に私が学校医を務めている金沢市立緑中学校で喫煙防止と薬物乱用のお話をしてきました。
昨年に引き続いて2回目なのですが、果たして私が言いたいことがどこまで伝わったのかは不明です。
中学生にとって喫煙はゲートウェイドラッグ(薬物への入口)になりかねない喫煙はお勧めしません。
お父さん、お母さんが吸っているのになぜ俺は、私はタバコを吸ってはいけないのか?と言う疑問も
真っ当なご意見だと思います。なぜ喫煙が良くないかについて、またその先に広がっている薬物中毒
について45分くらいお話ししてきました。学生さんにお話しするのは新鮮なんですよね。
散々喫煙は良くないですよ〜と言う話をしてきたにも関わらず、今日の話題は真逆です。
ここ最近多くの疫学調査では喫煙がParkinson病などの変性疾患の症状が改善したり、発生率が
減少したりすることが報告されています。これは喫煙者にとっては朗報となります。でも、なぜなのか?
タバコの煙には4000種類ものの化合物が存在すると言われています。その中でも比較的多く存在して
生物学的活性が高いものとして一酸化炭素(CO)があります。COは火事の死因となったり、練炭自殺で
使われる毒ガスです。一方で、COは微量であれば生体にとっては保護的に働くようです。
COは生体の様々な生理機能のシグナル分子として重要な役割をしていて、COが実は神経系においても
重要な役割をしているのかもしれません。喫煙していればCOヘモグロビンが呼気中に出てきますが、
健康な非喫煙者であってもCOヘモグロビンは存在しており、いつも作られているようなのです。
タバコのニコチン自体がドパミン神経を活性化することは関係あるかもしれませんが、CO自体の影響も
ゼロではないと思います。今も研究は進んでおります。吸っていいの?悪いの?・・・・