2026.09.09

ゴッホの『ひまわり』と黄色い世界

芸術の秋にふさわしい鮮烈な色彩で知られるフィンセント・ファン・ゴッホですが、彼の代表作『ひまわり』をはじめとする後期の作品には、独特で強烈な「黄色」が画面全体を支配しています。このゴッホの黄色へのこだわりについては、実は医学の世界で非常に有名なある仮説が存在します。当時、精神的な不調を抱えていたゴッホは、治療薬として「ジギタリス」という植物から作られた薬を服用していたとされています。この薬は現代でも心不全などの治療に使われる重要な医薬品ですが、過剰に摂取すると、すべてのものが黄色みを帯びて見える「黄視症」という特有の視覚的な副作用が現れることがエビデンスとして知られています。つまり、ゴッホは単に想像力だけであの黄色を描いたのではなく、彼の目に映る世界そのものが本当に黄金色に輝いていた可能性が指摘されているのです。診察室で「薬の副作用が怖い」と心配される患者様は多いですが、現代の医学では投与量や血中濃度が厳密に管理されているため、ゴッホのような極端な症状が起こることはまずありませんのでご安心ください。むしろ現代において注意すべきなのは、薬の副作用よりも、スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトによる「目への負担」です。9月の長夜に画面を凝視し続けると、目のピントを調節する毛様体筋が疲弊し、視界がかすんだり、一時的に色の見え方に違和感を覚えたりする眼精疲労を引き起こします。時々は画面から目を離し、遠くの景色を見たり、目を温めたりして労わってあげることが大切です。我が家の愛犬ポンポンも、私がパソコンに向かってばかりいると、まるで「目を休めて」と言うように足元にトコトコとやってきて、じっと見つめてくれます。ポンポンのくりくりとした黒い瞳を見つめ返している時間は、私にとっても最高のデジタルデトックスであり、目の筋肉をリラックスさせる貴重な時間になっています。当院眼科ではないので、診察室ではなかなか聞きにくい「目がしょぼしょぼする」「最近視力が落ちた気がする」といったお悩みも、実は自律神経の乱れや日常のちょっとした習慣が影響していることが多いものです。名画の背景にある医学の不思議に思いを馳せながら、ご自身の目の健康にも少しだけ意識を向けてみてください。何か気になる症状があれば、いつでも当院の診察室でお気軽にご相談くださいね。皆様の健やかな毎日をサポートいたします。