2026.09.08

健康意識が高すぎるあなたへの処方箋

皆さんは、こんな言葉を聞いたことはありませんか? 「健康のためなら死んでもいい」もちろん、これはジョークや皮肉として使われる言葉ですが、笑い事では済まされないケースが現代社会では増えているように感じます。健康診断の結果に一喜一憂し、テレビやSNSで「体に良い」と言われればすぐに飛びつく。そんな熱心な姿勢は素晴らしいのですが、度を越してしまうと、かえって心身を蝕んでしまうことがあるのです。今回は、健康意識が高すぎるあまり「健康迷子」になっている方へ、医師の視点から少し肩の力が抜けるアドバイスをお届けします。血圧、血糖値、体重、歩数、摂取カロリー……。今の時代、自分の体を「数値化」するのはとても簡単です。しかし、数値はあくまで「目安」に過ぎません。例えば、血圧が少し高いだけで「もうおしまいだ」と絶望し、一日中暗い気持ちで過ごしてしまう。これでは、ストレスでさらに血圧が上がってしまいます。数値にこだわりすぎて、毎日の食事の楽しさや、ぐっすり眠れる心地よさを忘れてしまうのは、まさに本末転倒です。「これを食べれば癌にならない」「この運動をしなければ早死にする」といった極端な医療情報は溢れています。しかし、医学の世界に「100%の正解」はほとんどありません。ストイックに糖質を制限し、大好きなスイーツを一切断ち切り、雨の日も風の日も無理をして走る。その「義務感」が強いストレスとなり、自律神経を乱してしまっては、何のための努力かわからなくなります。「〜しなければならない」という思考は、実は体にとって一番の毒になることもあるのです。ここで一度、立ち止まって考えてみてください。 あなたにとって、健康である目的は何ですか?「孫と一緒に旅行に行きたい」「美味しいものをいつまでも食べたい」「仕事をバリバリこなしたい」……。きっと、健康の先には「やりたいこと」や「幸せな時間」があるはずです。健康は、人生を楽しむための「ツール(手段)」であって、人生の「ゴール(目的)」そのものではありません。健康を維持することだけに全精力を使い果たし、今この瞬間の楽しみを犠牲にしすぎるのは、人生という長い目で見ればもったいないことかもしれません。私たち医師が理想とするのは、皆さんが「自分の体の声を聴ける」ようになることです。「今日はちょっと疲れているから、運動は休んで早く寝よう」 「最近頑張ったから、週末は好きなものを食べよう」そんな、自分を許せる「いい加減(良い塩梅)」さこそが、長く続く健康の秘訣です。いりたに内科クリニックでは、単に数値を下げることだけを目指しているわけではありません。皆さんが不安から解放され、毎日を笑顔で過ごせるお手伝いをしたいと考えています。もし、今の健康法に疲れてしまったら、あるいは情報が多すぎて何が正しいかわからなくなったら、いつでも気軽にご相談ください。あなたの人生を彩るための「ほどよい健康」を、一緒に見つけていきましょう。