2026.09.22

秋分の日に振り返る近代医学の歩み

こんにちは、いりたに内科かかりつけクリニックの入谷敦です。いよいよ明日は秋分の日を迎え、暦の上でも夜の時間が少しずつ長くなる秋本番へと突入しますね。暑さが和らぎ、秋の夜長を読書や趣味に費やす時間が増えるこの季節は、過去の歴史に思いを馳せるのにも絶好のタイミングです。今回は、日本の近代医学の礎を築いた偉人である北里柴三郎の歴史と、現代の私たちが直面している生活習慣病という医学の話題を絡めてお話ししたいと思います。北里柴三郎といえば、ペスト菌の発見や破傷風の治療法開発などで世界的に知られ、新しい紙幣の顔としても馴染み深い存在ですが、彼が最も情熱を注いだのが予防医学の普及でした。明治時代、まだ感染症への対策が十分でなかった日本において、北里は病気になってから治療するのではなく、最初から病気にならないように社会全体で予防することの大切さを強く訴え続けました。この北里が遺した予防医学という教えは、感染症が抑え込めるようになった現代において、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の予防にそのまま受け継がれています。特に、秋を迎えるこれからの時期は、生活習慣病のリスクが静かに高まりやすい季節でもあります。涼しくなって食欲が増す秋は、ついつい炭水化物や脂っこいものを食べ過ぎてしまい、血糖値やコレステロール値が急上昇しがちです。また、夏の疲れが残ったまま気温が下がると、身体の血管が収縮しやすくなり、自覚症状のないまま血圧が一段と上昇してしまう傾向があります。生活習慣病は、かつては加齢によるものと考えられていましたが、実際には日々の食事や運動、睡眠の質といった文字通り日々の生活習慣の乱れが積み重なって引き起こされる、まさに現代の国民病です。北里柴三郎は「医者の職分は病気を予防することにある」という言葉を遺していますが、現代におけるその第一歩は、自分自身の身体の現状を定期的な健康診断などで正しく把握することに他なりません。生活習慣病は初期段階では痛くも痒くもないため放置されがちですが、気づかないうちに血管を傷つけ、将来的に心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる重大な疾患を引き起こす引き金になります。歴史が私たちに多くの教訓を教えてくれるように、毎年の健診データは私たちの身体の歴史そのものであり、未来の健康を守るための貴重な道標となります。秋の心地よい気候の中で、暴飲暴食を避け、少し多めに歩くことを意識するなど、できることから生活習慣を見直してみませんか。皆さんが豊かな秋を健やかに過ごし、健康な未来を築いていけるよう、当院も日々の診療を通じてしっかりとサポートしてまいります。身体のことで気になることがあれば、いつでもお気軽に相談してください。