2026.11.07

健診結果の「AやB」に一喜一憂していませんか?数字の裏に隠された医療の歴史と本当の向き合い方。

秋の気配が深まるこの季節、金沢市で行われた「すこやか健診」などの結果が手元に届き、恐る恐る封筒を開けている方も多いのではないでしょうか。手元に届いた判定票を見て「A判定だから完全無欠の健康体だ」と胸をなでおろしたり、逆に「C判定やD判定がついている、どうしよう」と目の前が暗くなったりと、私たちはどうしても記されたアルファベットや数値の一つ一つに一喜一憂してしまいがちです。しかし、医療の歴史を少し紐解いてみると、この「正常」や「異常」を区別する基準値の見方は、時代や科学の進歩とともに常に変化し続けてきた面白い背景があります。たとえば、現代の健康診断で誰もが気になる「血圧」の数値ですが、かつて明治時代や大正時代には「年齢に90を足した数値までが正常」という、今から思えばかなり大まかな目安が真面目に語られていた時代もありました。もちろん、当時の平均寿命や生活環境を反映した知恵ではありましたが、医学がデータと統計学に基づいて精密に発展するにつれて、脳卒中や心筋梗塞のリスクを真に下げるための「現代の基準値」へとアップデートされてきたのです。つまり、健診結果に書かれている数値は、決してあなたという人間の健康度に固定された通信簿をつけるためのものではなく、あくまで「現代の膨大な医療データと比較したとき、現在のあなたの体が発している小さなサイン」に過ぎません。特にB判定やC判定といった「少し基準から外れた数値」は、病気そのものを指しているのではなく、「このままだと将来的に負担がかかるかもしれないから、今のうちに少し生活のバランスを見直してみませんか」という、体からの優しい先回りのメッセージなのです。金沢の美しい街並みが本格的な冬の寒さを迎える前に、私たちが冬支度を整えるのと同じように、健診結果はあなたの体がこれから先も健やかに動き続けるための「現在の現在地」を教えてくれる心強い地図と言えます。もし封筒を開けて気になる数値や、どの診療科に相談すればいいのか迷う判定を見つけたら、一人で不安を抱え込まずに、ぜひ当院のドアを気軽に叩いてみてください。数値をただの「点」として怖がるのではなく、これからの健康を支える安心の「線」へと一緒に繋げていきましょう。