2026.09.27

戦国最強の武田軍を支えた驚異の食育医学

爽やかな秋晴れが心地よく、歴史のロマンに浸りながら健康について考えるのにも素晴らしい季節になりましたね。今回は秋の夜長にじっくりと読み解きたい、戦国時代屈指の名将である「武田信玄」を深く掘り下げながら、現代の私たちにも通じる面白くてためになる医学の話題をお届けします。私は文春文庫の武田信玄(新田次郎さん著)が一番好きです。戦国最強と恐れられた武田軍ですが、その圧倒的な強さの裏には、信玄が現代の医学を驚くほど先取りして実践していた「食育」と「予防医学」の知恵が隠されていました。甲斐の山奥に本拠地を置く武田軍にとって、厳しい戦いを勝ち抜くための最大の課題は兵士たちの栄養管理でした。そこで信玄が考案し、陣中食として大流行させたのが、現代でも山梨の名物として愛されている「ほうとう」です。ほうとうは、小麦粉を練った平打ちの麺に、地元で採れるカボチャやキノコ、季節の野菜をたっぷりと加え、味噌で煮込んだ料理です。これが医学的に見ると、極めて完璧な栄養食でした。今でいう完全メシですね。カボチャやキノコには、体内の余分な塩分を排出して血圧を隠れて下げる効果がある「カリウム」や、腸内環境を整えて免疫力を高める「食物繊維」が豊富に含まれています。また、発酵食品である味噌は、血管を健やかに保ち、動脈硬化を予防する効果が現代の医学でも証明されています。信玄は、塩が貴重な甲斐の国において、限られた塩分(味噌)を野菜の力で上手にコントロールし、兵士たちの高血圧や脳卒中を防ぎながら、驚異的なスタミナを維持させていたのです。しかし、そんな予防医学の天才であった信玄自身は、53歳という若さで病に倒れてしまいます。彼の死因には諸説ありますが、現代の医学の目で見ると、長年の激しい戦のストレスによる高血圧の悪化や、それらが引き起こした脳卒中、あるいは胃がんなどの消化器疾患であった可能性が高いと考えられています。どれだけ優れた食事療法を知っていても、天下統一という巨大な重圧と過労は、彼の血管を静かに蝕んでいったのです。最強の武将の生涯は、私たちに「食事のバランス」と「ストレス管理」が健康の両輪であることを教えてくれます。特に秋は食欲が増し、濃い味付けのものや炭水化物を摂りすぎて血圧や血糖値が上昇しやすい季節です。信玄のほうとうのように、日頃から野菜をたっぷり摂って塩分を控え、身体を労わる習慣を作ってみませんか。健康診断の結果や日々の体調で気になるサインがあれば、いつでもお気軽に当院までご相談ください。