2026.09.23

秋分の日に知りたい身体の不思議

本日は秋分の日ですね。昼と夜の長さがほぼ等しくなるこの日は、天文学的な節目であると同時に、私たちの身体や脳にとっても非常に大きな切り替えスイッチとなる日であることをご存知でしょうか。医学的な視点から見ると、秋分の日を境に日照時間が短くなっていく現象は、脳内で行われている二つの重要なホルモンの大逆転レースのスタート合図でもあります。まず一つ目は、感情をコントロールして心を穏やかに保つ役割を持つ、別名幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの減少です。セロトニンは朝に太陽の光を浴びることで勢いよく作られますが、秋分を過ぎて光の量が減ると、脳は光が足りないと判断してその分泌量を一気に減らしてしまいます。秋にふと寂しい気持ちになったり気分が落ち込みやすくなったりするのは、決して気のせいではなく、医学的にセロトニンが不足することが原因の一つです。そして二つ目は、夜になると分泌されて眠気を誘う睡眠ホルモンのメラトニンです。メラトニンは暗くなると作られる性質があるため、秋分以降は夕方になるのが早まることで、脳がもう夜だと勘違いしてまだ活動すべき時間帯からフライング気味に分泌を始めてしまいます。秋になるといくらでも眠れると感じたり身体がだるくなったりするのは、脳が早すぎる夜の訪れに戸惑っている証拠なのです。さらに、秋はお腹がすくという食欲の秋の正体も、実はこの脳内ホルモンの減少と深く結びついています。脳内で幸せホルモンが減ると、脳は危機感を覚え、手っ取り早くセロトニンを増やしなさいという命令を出します。その手っ取り早い方法こそが、炭水化物や甘いものといった糖質を食べることなのです。つまり、秋に美味しいものが止まらなくなるのは脳の防衛反応とも言えますが、これを放置すると食べ過ぎによる体重増加や血糖値の上昇を招き、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の引き金になってしまいます。この脳の秋のバグに振り回されず健康に過ごすための簡単なコツは、朝起きたらすぐにカーテンを開けて15秒ほどしっかり太陽の光を浴びること、そしてセロトニンの材料となる大豆製品や乳製品、卵、バナナなどのトリプトファンを朝食に意識して摂ることです。これによって脳内の幸せホルモンを効率よく増やし、ドカ食いを防ぐことができます。秋分の日は、ご自身の身体をいつもより少し労わり、これからの季節を健やかに過ごすための生活習慣を見直す記念日にしてみませんか。体調や生活習慣病のことで気になることがあれば、いつでもお気軽に当院までご相談ください。