大動脈解離の続き
昨日のブログを読んでいただいた人の中に、血管が裂けるってわかんないわと
質問をして来られた方がいました。血管の痛みは、想像するに血液検査で注射針が
刺さる時にも痛みを感じますよね?でも採血は静脈であって、大動脈解離は文字通り
動脈の病気なのです。動脈の周囲には神経が張り巡らされていて、血管が裂けた時の痛みは
半端じゃありません。細かいことを言うと大動脈の壁は3層になっていて、その内膜と中膜の間に
裂け目が生じてしまうことで、血液が入り込んでしまうのです。
「ア〜〜〜」と身悶えながら救急車で搬送されてきた人たちを何人見たのでしょうか?
たとえ、病院に到着して痛みが治ったとしても、発症時間がはっきり言えるくらいの背部痛や
胸痛があれば大動脈解離の可能性が高いのです。
昨日私が言った「裂けるような痛み痛み」とズバリ言ってくださる人はおおよそ半数足らずです。
激しい背中の痛みがあれば是非、左右の血圧を測定してみてください。20mmHg以上の差があれば
ご相談ください。もちろん症状がない場合は慌てないで良いです。
父を亡くしたのは急性大動脈解離でした。風呂に入っていると「ゴンッ」と壁に何かが当たる音がして
母が見に行くと、すでに反応がなかったようです。つまり、解離が頸動脈まで避けてしまった状態です。
父は体が大きいので湯船に顔を浸かってしまわないように、風呂の栓を咄嗟に抜いたようです。
その判断とても素晴らしいと思いました。なかなか素人にはできない判断だと思います。
結果、近くの日赤病院に運ばれましたが、手術適応はないと診断され、その日の夜、私が旭川に到着して
担当医から話を伺い、判断に納得できたわけではないのですが、翌日朝に息を引き取りました。
恐らく心臓血管外科医をしていた時には、大動脈瘤と大動脈解離の手術の経験件数がダントツに多かった
のに、身内をその疾患で失うと言うのは本当に切ない思いでした。
皆さんはこのような思いをする、させることがないように普段から健康管理に気をつけましょう。
まずは血圧、脂質(コレステロール)、糖尿病の管理ですね。たまに、血管年齢も測ってみましょうね。