糖尿病

糖尿病の治療はいりたに内科かかりつけクリニックへ

当院は、地域のかかりつけ医として「はじめて糖尿病の可能性を指摘された」患者さんにも多くお越しいただいています。糖尿病の治療と聞くと「先生に相談するのは怖い」「不摂生な生活を怒られるだけでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、糖尿病は早期からきちんと治療を行うことにより、糖尿病に伴う合併症の発症リスクを抑制し、健康寿命(自立して活動し、健康に過ごせる期間)を延ばすことができます。少しでも不安のある方は、まずはお気軽に当院へお越しください。

糖尿病とは

糖尿病とは、日常生活のエネルギー源であるブドウ糖が、何らかの原因により適切に細胞に運ばれなくなり、ブドウ糖が血液中に過剰に残ってしまう状態(高血糖)となる慢性疾患です。長期間にわたり血糖値が高い状態が続くと、全身の血管にダメージを与え、様々な危険な合併症が引き起こされます。血糖値を適切に管理し、このような合併症を防ぐことが、糖尿病治療の主な目的となります。

糖尿病には、症状が全く出ないという大きな問題があります。そのため、自分自身が糖尿病であることに気付かない人が非常に多く、既に糖尿病と診断されていても症状がないために治療が遅れるケースも多く見受けられます。糖尿病は「サイレント・キラー」とも呼ばれ、知らないうちに身体を蝕んでいく恐ろしい病気なのです。結果として、脳梗塞や心筋梗塞などの糖尿病合併症を若くして発症する恐れがあります。

糖尿病合併症は非常に恐ろしい病気ばかりですし、一定まで進行すると残念ながら元の健康な状態に戻ることは非常に難しくなってしまいます。しかし、糖尿病を早期に発見・治療をすることで、その後の健康状態は改善が見込めます。症状が出ないからこそ、定期的な診察と検査を受け、血糖値が適切に管理されていること、そして合併症が発症していないことを確認することが重要となります。

糖尿病の原因と症状

糖尿病は生活習慣病の2型糖尿病と、大きく免疫病の1型糖尿病に分かれます。

それぞれ、なぜ糖尿病になってしまったのか?という背景が異なりますので、ここでは原因と症状をご紹介します。

2型糖尿病

2型糖尿病は最も一般的な糖尿病で、日本では95%以上の糖尿病患者がこのタイプに当てはまります。

原因

2型糖尿病は以下に挙げたものが引き金となってインスリンの分泌が低下したり、インスリンがうまく働けなくなることが発症の主要な原因となります。

  • 加齢(40歳以上から特に)
  • 肥満体型
  • 家族に糖尿病の人がいる
  • 運動不足
  • ストレス
  • 過食・早食い
  • 食事の時間が不規則
  • 遺伝的要因(家族に糖尿病がいる方は発症しやすい)

症状

2型糖尿病は、初期段階においては自覚症状が全く無いことが多く、「糖尿病合併症」が進行することにより、以下のような症状が全身に少しづつあらわれます。

  • 疲労感
  • 手足のしびれ
  • 尿が泡立つ
  • 性機能の問題(ED)
  • 皮膚の傷が治りにくい
  • 頻尿

1型糖尿病

世界的には糖尿病患者のうち約5%が1型糖尿病とされています。

発症には地域差があることが知られており、日本での発症率は少ない傾向にあります。

原因

1型糖尿病は、すい臓に存在するインスリンを分泌する細胞(β細胞)が破壊されてインスリンの分泌が低下、あるいは枯渇することが原因で起こる糖尿病です。

1型糖尿病と診断された場合は注射でインスリンを補うインスリン治療を行います。

症状

1型糖尿病は症状が突然あらわれます。主な症状は以下の通りで、これらの症状が進行すると呼吸困難や吐き気・おう吐などが起こり、昏睡状態に陥るなど非常に危険な状態になることもあります。

  • 普段よりのどが渇く
  • 頻尿
  • 急激な体重減少
  • 疲れがひどい

糖尿病のリスクと合併症

糖尿病では自覚症状はほとんど現れませんが、血糖値が高いまま放置すると血管がもろく、ボロボロになってしまう、いわゆる血管病になり、ほぼ全身の臓器・組織が何らかの障害を受けてしまいます。なかでも糖尿病に特有の合併症として網膜症、腎症、神経障害があり、糖尿病の3大合併症といわれます。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは、高血糖により目の網膜にある細い血管が徐々に蝕まれていく糖尿病合併症です。糖尿病で失明なんてありえるのかと思われた方もいるかもしれませんが、糖尿病網膜症により失明してしまう人は毎年3,000人以上と非常に多く、成人後の失明原因のトップなのです。このような事態を防ぐためにも、早期の発見と進行防止・治療のために、少なくとも年に1度の眼底検査を行うことが必要です。

糖尿病腎症

糖尿病腎症は、高血糖により腎臓にある非常に細い血管が徐々に蝕まれていく糖尿病合併症です。進行すると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、糖尿病腎症は透析が必要になる原因の第一位です。

自覚症状がほとんど現れないまま進行することが多いため、早期発見を目指して、定期的な腎機能検査が必要です。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害は、高血糖により手足の神経が損傷を受け、足の先端や裏面、または手の指に痛みやしびれといった感覚異常が生じる糖尿病合併症です。

多くの場合は手足のしびれが生じ、痛みのために睡眠不足やストレスに悩まされる方も少なくありません。しかし、しっかりと治療を行えばこのような症状はいずれ収まりますので、自覚症状がある場合は、早めに当院へご相談ください。

糖尿病の治療

糖尿病の治療には、①食事療法、②運動療法、③薬物治療(経口薬、注射薬)があります。

糖尿病治療において大切なことは「適切な治療」を「継続」することです。糖尿病は「完治する」病気ではありません。

長期的な目標は、病気をコントロールし、合併症を防ぎ、健康な人と同じように生活することです。「適切な治療法」は私たち医療専門家が提供し、「継続」するのは患者さん自身です。どんなに良い治療法であっても、継続できなければ意味がありません。だからこそ、「無理のない治療」を行いつつ、「定期的に通院する」ことが重要です。

食事療法

食事療法は、糖尿病患者さんにとって最も基本的な治療法です。糖尿病または糖尿病の疑いがあると診断されたときから開始します。食事療法によって、摂取エネルギー量を適正に保ち、体重をコントロールすることにより、インスリンの効きや分泌能力が改善します。食事療法を適切に行うことにより、糖尿病の状態は良好になり、経口薬や注射薬を使用している場合は薬の量を減らすことができたりします。

何をどれだけ食べればよいのか

1日の活動に必要なエネルギー量を確保し、適正な体重をコントロールするために過剰摂取にならないようにします。1日の適正エネルギー摂取量の目安は下記の式で求められます。

エネルギー摂取量(kcal)=身体活動量※1(kcal)×標準体重※2(kg)

※1:身体活動量の目安は下記の通りです。
デスクワークや軽労作が中心の仕事、主婦の方など  25〜30kcal
立ち仕事が多い仕事の方など  30〜35kcal
力仕事が多い仕事の方など  35kcal〜

※2:標準体重(kg)身長(m)×身長(m)×22
詳細は、問診などにより主治医が決定しますのでお気軽に当院へお越しください。

運動療法

運動療法は、食事療法と並んで糖尿病治療の基本といえます。

なぜ運動がよいのか

食後に運動をすることにより、筋肉でブドウ糖や脂肪の利用が増加するため、食後の血糖値上昇が改善されます。また、運動を続けることによってインスリンの効きがよくなり血糖値がよくなります。さらに、中性脂肪は低下し、HDL(善玉)コレステロールは増加し、さらに血圧が下がるなどの効果もあります。

効果的な有酸素運動

散歩・ジョギング・自転車・水泳などの有酸素運動を、1回に30分、週3回程度実施するとよいとされております。無理をしてしまうと、やる気を失ってしまったり、ケガをしてしまう恐れもあります。当院では患者さんの状態や生活スタイル、スポーツ歴の有無、持病の有無などを考慮して、運動メニューを提案していきますので、お気軽にご相談ください。

運動療法の注意点

運動療法を行う上で注意すべきことは、低血糖です。その他の注意として、最初は散歩など軽い運動を短時間おこなうことから始め、次第に時間を長くして、強度もやや強くします。さらに運動中のけがや事故を防ぐため、運動前後にはストレッチング、ラジオ体操などの準備運動をおこないましょう。

運動を避けるほうがよい場合

以下の状態に当てはまる方は、運動がかえって身体によくない場合があります。運動を始める前に当院へご相談ください。

  • 血糖コントロールが悪い
  • 糖尿病の合併症が進行している
  • ほかの病気を患っている

薬物療法

食事療法と運動療法を2-3か月継続しているにもかかわらず、良好な血糖コントロールが得られない場合、薬物療法を行う必要があります。薬物療法には経口薬と、大きく注射薬があります。

経口薬

現在、日本では多くの経口薬を使用することができます。1種類だけではなく、複数の経口薬を組み合わせることで、良好な血糖コントロールが期待できます。

注射薬

1型糖尿病の患者さんでは、インスリン注射による治療が一般的です。2型糖尿病の患者さんの場合、食事療法・運動療法・経口薬で治療しても効果が見込めないときにインスリン注射を開始する場合が多いです。