高血圧疾患

こんな方は高血圧に要注意

次の項目に該当するものが多い人は、高血圧への注意が必要です。

  • 野菜をあまり食べない
  • タバコを吸う
  • お酒をたくさん飲む
  • 濃い味付けの食事が好き
  • 肥満気味である
  • 運動不足気味である
  • ストレスがたまりやすい
  • 睡眠が不足しがちである
  • 生活リズムが不規則である
  • コレステロール値を指摘されている

3つ以上当てはまった方は高血圧のリスクが高いと考えられます。少しでも気になる方はお気軽に当院へお越しください。

高血圧症とは

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押し出す力のことです。血圧は日常生活(身体を動かす、寒さを感じるなど)の中で上昇しますが、こうした一時的な血圧の上昇は、高血圧症とはいいません。

   

高血圧症とは、安静時でも血圧が一定以上高い状態のことをいいます。高血圧症患者は、日本全国で約4,300万人もいるといわれており、国民の約3人に1人が高血圧症で、まさに国民病といっても過言ではありません。高血圧症は、自覚症状もなく進行し、ある日突然、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全などの恐ろしい病気を引き起こす危険があります。しかし、早期に高血圧症の治療を始めることで、そのような危険な病気になるリスクを減らすことができます。健康診断で血圧が高いといわれた方、心当たりが少しでもある方はお気軽に当院へお越しください。

高血圧症に自覚症状はある?

高血圧症に自覚症状はほとんどなく、血圧を測定してみて初めて分かる病気と言えます。血圧が非常に高いと頭痛、肩こり、めまいといった症状が起こることがありますが、どれも身近な症状なので高血圧だと自覚するのは難しいです。症状の有無に関わらず、定期的に血圧を測るのが早期発見のためには重要です。

高血圧症の原因

塩分の摂り過ぎ、過度の飲酒、肥満、運動不足などの生活習慣の乱れや加齢、ストレス、喫煙などが主な原因です。また、高血圧のなりやすさには遺伝的な体質が関わっているとされています。一緒に暮らす家族は生活習慣も似ることから、高血圧の人の家族には高血圧の人が多くなりやすい傾向もあります。

高血圧を対策せずに放置すると起きるリスク

高血圧症では動脈に常に負荷がかかるため、動脈の血管は次第に厚く、硬くなり、狭くなります。これを動脈硬化といい、血液が流れにくくなったり動脈が詰まったりして、さまざまな臓器に負担をかけることになり、様々なリスクを引き起こす恐れがあります。代表的な合併症としては、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、腎機能の低下、狭心症・心筋梗塞などがあります。また心臓では、高い血圧の負荷に対応するために筋肉を強化し、大きくなります。これを心肥大と呼び、この状態が続くと心臓の力も低下していきます。

これら命を脅かす高リスクの疾患を引き起こす恐れがあることから、高血圧症の方は死亡リスクが相対的に高くなる傾向にあるとされています。命を守り健康な生活を送るためにも、血圧が高い方や高血圧症の方は、放置せずにしっかりと対策をすることが大切です。

高血圧の治療法

高血圧治療の基本は、食事療法と運動療法です。そのうえで効果が不十分な患者さんにはお薬の処方によって治療を行います。

食事療法のポイント

塩分摂取量を減らす

高血圧の主な原因は、塩分の過剰摂取であるといわれています。塩分摂取量は食事の内容や量に関係します。日本人の平均塩分摂取量は1日10.2gですが、国が推奨する摂取目標量として、1日男性8g、女性7g以下とされています。高血圧の場合は、1日6g未満を目標にしましょう。

塩分摂取量を減らすためのコツとしては、「減塩タイプの調味料を使う」、「ハム・ソーセージなどは1度茹でる」、「味付けは直前にする」などがおすすめです。

野菜や果物をよくとる

野菜や果物に多く含まれている「カリウム」には、摂取しすぎた「塩分」の排出を促す作用があるのでできるだけメニューに加えましょう。カリウムが多く含まれている野菜としては、ほうれん草、枝豆、人参、小松菜などが挙げられます。

食べ過ぎに注意する

食べ過ぎは高血圧の一因となる肥満につながるリスクもあるため、日ごろから腹八分目を意識することが重要です。

「ついおなかいっぱいになるまで食べてしまう」

という方はご飯のおかわりをやめてみたり、お酒を飲んだ後の締めの食事を控えてみたりして、食べる量を減らしてみましょう。

お酒の飲みすぎに注意する

酒は百薬の長ともいわれますが、アルコールの過剰摂取は高血圧の原因となります。毎日お酒を飲む習慣がある方は、 まず1日だけでもお酒を飲まない日を作るように心掛けてみましょう。

さらに、飲酒をしていると一緒に食べるつまみによって塩分を摂り過ぎたり、摂取する総カロリーが増えて肥満につながったりする恐れもあります。

運動療法のポイント

適切な運動の強さは、心拍数が少し上昇し、「息がちょっときつい」と感じる程度の有酸素運動が最適です。週に3回、30分以上の運動を目指しましょう。たとえ忙しい日でも、10分でもいいから運動を行い、その習慣を毎日の生活に取り入れることが重要です。日中に可能な時間を見つけて運動をすることで、適切な運動時間を確保しましょう。朝の散歩や帰宅後のウォーキングなど、日常生活に自然に組み込める運動方法も効果的です。

薬物療法のポイント

高血圧に対する薬物療法では、降圧薬が主に使用されます。これらの薬剤は、その名の通り高い血圧を下げる目的で使われる薬で、高血圧薬や降圧剤とも呼ばれます。

降圧薬には多くの種類があり、患者さんの具体的な状況や持病の有無に応じて最適なものが選ばれます。降圧薬が行う主要な作用は、主に以下の5つのタイプに分けられます。

  • 血管を拡げて流れる血液の抵抗を減らし、血圧を下げる薬
  • 心臓の機能に影響を与え、血液の流出量を制御し、血圧を下げる薬
  • 尿量を増やすことで血液の容量を減らし、血圧を下げる薬
  • 自律神経を調節して血管の緊張を緩和し、血圧を下げる薬
  • 血圧上昇の因子を抑制し、血圧を下げる薬

降圧薬の種類によっては、特定の疾患を持つ患者さんに対しては使用が推奨されないもの、または用法・用量が細かく指定されるものも存在します。したがって、適切な処方を受けるためには、過去の健康状態や現在の病状、さらには医療履歴を医師に十分に伝えることが重要となります。