コレステロールの話
「卵を食べるとコレステロールが上がるからねぇ」といわれたこともある人いませんか?
卵は1日1個まで!という認識は1970年代に行われた研究が根拠になったようです。
これまた古い研究ですが、1981年に発表された研究では健康成人が1日5~10個の卵を
5日間連続して食べた結果、1日10個ずつ食べた人でも血中のコレステロールの値はほとんど
変わらなかったそうです。これは卵黄に含まれるリン脂質の一種、卵黄レシチンがコレステロール
の量を調整し、善玉コレステロールを増やす働きがあり、脂肪酸にはコレステロールを下げる
オレイン酸が豊富なのでコレステロールを上昇させるというのは間違いだったのです。
現在のところ、コレステロールの上限目標量は消えました。コレステロールを多く含む食品を食べても、
血中コレステロール値には影響がないという研究が多数報告されたためです。
コレステロールが高い状態=脂質異常症ですが、自覚症状が全くないところに怖さがあります。
放置しておくと動脈硬化のリスクが高まり、かつ、心筋梗塞やの梗塞などを引き起こしてしまいます。
動脈硬化の中でもLDLコレステロール(悪玉コレステロール)と関係が深いのはアテローム性動脈硬化
です。太い血管にLDLコレステロールでできたドロドロの塊がたまって血管の内腔を狭くさせるのです。
血管の流れが悪くなり、それが原因で脳梗塞になるということが近年増加傾向です。
2022年に改訂された動脈硬化性疾患予防ガイドライン(医者の教科書みたいなもの)では、
中性脂肪に随時採血での値が新基準として追加されました。私は空腹時での検査をお願いしておりますが、
空腹時に正常であっても、非空腹時に数値が高い人も動脈硬化性疾患を発症しやすいことが分かっているから
として、そこまでカバーするための基準として設定されたのです。
中性脂肪が増えると、LDLコレステロールの粒が小さくなって血管に入り込みやすくなったり、血液中に
残りやすくなったりとリスクが高まるためにより動脈硬化が進行してしまいます。
じゃあどうするの?という質問には・・・
まず、メタボ体型であれば減量(ダイエット)が効果的です。食事は炭水化物の摂りすぎが原因となることも
考えられるので、主食の米やパンの摂りすぎに注意をしましょう。中性脂肪が下がると自然に
HDLコレステロール(善玉コレステロール)は上昇します。Pointは以下の通りです。
・適正なエネルギー量(カロリー)の食事を心がける
・脂肪酸の多い肉や乳製品、加工食品は控えましょう
・魚を積極的に摂りましょう
・食物繊維の多い食品を摂りましょう
・減塩を心がけましょう これらを気をつけて動脈硬化を予防・改善しましょうね。