貼り薬の謎
貼り薬を使っている人もいますよね?私はあまり処方しているつもりはないのですが、湿布も
一応貼り薬になりますが、それ以外の薬のことです。例えば、認知症の治療薬であるパッチ製剤
1日1回貼れば1日中効果が持続するので何だか得したような、すごいな〜と思っていました。
薬が皮膚を通して効果を発揮するのは複雑です。薬物を皮膚の角層に移行させます。皮膚から
浸透して、薬剤を皮膚の奥まで届けやすくする作用があります。また、湿布のように皮膚から
浸透すると、患部に作用して痛みや炎症を抑える作用もあります。薬剤の種類によっては、
鎮痛や消炎などの効果があります。貼り薬は患部に密着するように設計されているので、薬剤が
患部から剥がれ落ちにくくなっています。そのために患部に長時間作用して、1日中効果が持続
するのです。真皮は物質の経皮吸収を語るときに最も重要な組織です。その厚みは約0.2mmで
バリア機能が正常な人の皮膚であれば、薬物の透過は一定となります。ですが、乾燥や炎症など
で皮膚を引っ掻いてしまうと、皮膚が傷つき、バリア機能が壊れて薬の分子が大きくても通過
しやすくなってしまうのです。貼り薬はお薬の浸透促進と患部への密着という2つの仕組みにより
1日中効果が持続するのです。貼り薬は、患部の種類や状態によって、適切な種類や貼る場所を
選択することが大切です。以前、認知症の貼り薬をおでこに貼って気触れた人がおいでました。
頭(脳)に聞かせたい気持ちが十分に伝わるエピソードでしたが、気触れることを前提として
丈夫な皮膚(肩)に貼付することを私はお勧めしていました。この話題だけでも45分くらいの講演を
他府県にいっていたぐらいです。困っているというか正しく使えていない人が医師に多いのも
頷けます。