女性医師の活躍
現在の日本の医師数は約30万人、日本の人口が1億3千万人と言われているので450人に1人は医師
という計算になります。日本の医師に占める女性医師の割合は年々増加して約3分の1、10万人は
女性医師であるとされています。私が医学部に入学した時、1年生100名のうち半数が女子であり、
女子医大の次に女性の学生が多いと聞かされました。今は普通に医学部進学ができる時代ですが、
昔はなかなか一筋縄では行かなかったようです。第一号の女医さんは誰か?楠本イネだそうです。
彼女は、シーボルトと楠本たきとの間に生まれた元祖ハーフの娘さんです。医学を学んで江戸時代
末期から明治にかけて女医さんとして活躍しております。明治18年に医師国家試験を女性が受験
できるようになり日本で初めて合格したのが荻野吟子さんです。彼女の生涯は渡辺淳一の小説
「花埋み」で書かれています。興味があればぜひご一読をお勧めします。荻野吟子は早くに結婚
して、夫から性病をうつされて離縁し、男性医師による治療を受けることを屈辱に思い、医師を
志すのですが、当時の国家試験の女性に対する壁は非常に厚く苦労に苦労を重ねて医師になった
方です。小説には経緯が非常に細かに書かれていて当時の時代背景なども理解し、現在の我々が
恵まれているのだなぁとつくづく感じたことを思い出します。
ちなみに、なぜ?女子学生が多いのですか?と飲み会の席で偉い先生に訊ねた時に、女子学生は
君たち男どもと違って真面目に勉強するからな。女子が多い方が国家試験の合格率が高くなるんだよ。
と言われたことが衝撃的でした。数年前に東京医大で女子学生が合格点をとっていたにも関わらず、
不合格にしていたことを見ていて不公平は良くないと思うし、もし女子学生がよく勉強するので
女子学生が多ければ国家試験の合格率が良くなるからという理由で、男子が不合格にされることが
あれば切ない気持ちになるなと思いました。私が医師になって一緒に働く女性医師は大勢います。
でも大体皆さん、平均の男性医師よりもガッツがあってよく働くんですよ。患者さんウケもいいし。
女性医師の方が皆さん努力家が多いから、だからでしょうか。