ライム病
一般的にライム病と言われているのはマダニが媒介するやつです。しかも5〜7月によくみられる
とのことだったので、もっとブログに早く登場させるべきでした。申し訳ありません。
ライム病(Lyme病)はマダニによって媒介されるボレリアという細菌による人獣共通感染症です。
米国のコネチカット州のライムというところで原因不明の関節炎が流行して、後で感染症である
ことが判明してこの名前がついたようです。欧米では年関数万人が罹患していると言われていますが、
日本では年間数十例しか報告されていませんが、増加傾向であります。北海道がやや多めです。
比較的稀な病気で、教科書的には感染初期に目玉のような紅斑とインフルエンザのような筋肉痛、
関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感を呈し、3〜4週間後には症状が全身に広がって不整脈や
関節炎、神経症状など多彩な症状が出現してきます。抗菌薬で治ってしまいますので、いかに
この病気を医者が知っていて疑うのかがポイントです。思いつかないことには診断困難で、実際には
診断されていないライム病患者がもっとたくさんいることが予想されます。
このライム病実は、もう一つのライム病があるのです。果実のライム(Lime)で発音が同じですが、
スペルが異なります。ライムには、光感受性のある(光で活性化する)ソラレンという物質が含まれ
ていて、紫外線のUVAが当たることで皮膚に過剰な免疫反応を引き起こしてしまうのです。
ライムが皮膚についた後に日光浴をするとひどい皮膚炎になる患者さんがいて、植物日光性皮膚炎を
ライム病というのです。カクテルのマルガリータはテキーラをベースにライムジュースなどを混ぜて
作ります。また、メキシコ産のコロナビールはライムを瓶の中に押し込んでいただきます。このような
ライムを使った飲み物が皮膚についた場合にも同様の植物日光性皮膚炎が起きるのです。しかも、
マルガリータ皮膚炎、メキシカンビール皮膚炎と呼ばれたりしています。センスのいい病名ですね。