暑い日のマスク、するべきか、しなくても良い?
これだけ暑いと・・・しかもコロナも5類だしね・・・ということでマスクなんて、必要ないよねと
判断される方も多いのではないかと思います。マスク×熱中症というのは究極の臨床判断と言っても
良いのではないかと思うのです。マスクをすることで感染症のリスクは下げられます。じゃあ、
マスクを真面目にすることで熱中症になりやすいのか?ということです。実は「熱中症診療ガイド
ライン2024」にはマスクに関してのClinical question(質問項目)はありません。その他の
ガイドラインとして「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)」に
よると2つのClinical questionが取り上げられていました。
Q1 マスクを着用すると体温が上がるか?
A-1暑熱環境における1時間程度の軽度の運動、あるいは20分のランニング程度の運動強度では、
マスクの着用が体温に及ぼす影響はない。
Q2 マスクを着用すると熱中症の破傷が多くなるか?
A-2健常成人においてマスクの着用が熱中症の危険因子となる根拠はない。
つまり、軽度の運動ではマスクの着用は体温に及ぼす影響もないし、マスクが熱中症の危険因子に
なるという根拠はないとのことです。でも実際の研究では12名の成人を対象に室温35℃・湿度
65%の環境下で、時速6kmの歩行速度を30分間トレッドミルによる歩行を行い、マスク有無で
体温を比較したのですが、平均年齢23±3歳でかなり若いのです。リアルワールドには程遠い!
ここで大事なのは、マスクの着用が熱中症の危険因子とはならないとは言っていないことです。
私としては、せめて、当院のような屋内の狭い空間にいる際にはマスクをしておいた方が安全です。
一方、屋外を歩くような時はマスクを外した方が良いのではないかと思います。
マスクと熱中症については、二者択一ではなくて、リスクとベネフィット(有益)を天秤にかけて
バランスをとりながら行動すべきだと思います。