激痛の王様、尿管結石

これまでブログで自分の尿管結石の話もしてきましたし、尿管結石にはビッグサンダーマウンテンが
いいみたい!と紹介してきました。当院外来にも腹痛として来院されて尿検査と腹部のCTを行い、
やはり尿管結石ですねとなることもあります。5月に特に集中していたようにも感じます。
患者さんの特徴としては、どうにかしてくれと懇願されます。正直それだけ痛ければ救急に駆け込む
のもアリなのではないかと思うほどです。経験者は異口同音に、「死ぬほど痛い」と言います。
患者さんによっては、疝痛発作のために記憶を失い(逆行性健忘症)、家を出て、病院を受診し、
緊急手術をしたまでの間のことを、全く覚えていないほどでした。恐ろしくないですか?
人間の尿中には色んな無機質が溶けています。その中のシュウ酸カルシウムやリン酸マグネシウム、
尿酸などが結晶化して固まったモノが結石です。結石は最初腎臓で作られて、大きさは砂状から腎臓
全体に広がるサンゴ状結石まであるのです。この結石が尿管に降りてくる際に、途中で詰まって
しまうと腎臓で作られた尿が膀胱まで降りてこれないので、尿管や腎臓がパンパンに腫れて、痛みを
引き起こすのです。結石がどうして作られるのかはいまだに解明されていません。
結石の原因の一つとして、体質があります。親兄弟や申請に同じように尿管結石が発病することは
稀ではありません。もう一つ、高カロリー、高タンパク質の食事による脂質異常症、肥満、痛風など
が結石作成の重要な原因として挙げられています。
この尿路結石は、今から7000年前と推定されるエジプトのミイラからも膀胱結石が発見されました。
古代から近代にかけては結石の大部分は下部尿路の膀胱結石でした。ですが、20世紀になると、
どういうわけか腎結石や尿管結石といった上部尿路の結石が増加してきて、第一次世界大戦以降は
後者が前者を追い越したのです。日本では上部尿路結石が95%を占め、下部尿路結石がわずか5%
になったそうです。不思議ですね。ちなみにミイラは10歳代で石の成分は尿酸。肉食だったのですね。