2025.10.11

ダ・ビンチと鏡面文字

皆さんは1日1回は必ず鏡を見ていますよね?鏡の中の自分の顔やそこに写る物体、

風景を見ても何の違和感もないと思います。ですが、文字が逆になる鏡面文字は

すぐに違和感というか、すぐに気づくはずです。今はもう無くなりましたが、私が研修医

の時にはまだ、学会のスライドは自分がセットして係の人に「次のスライドお願いします」

とやっていました。時代ですね。ですから学会スライドで文字が裏返しになっていると

誰もが「あの人、やっちまったな〜」と心の中で思うのです。そして指摘されます。

ところがこの鏡面文字は日常どこにでも存在しているのです。え〜どこ?どこ?と

思うでしょう。お店の前に立っている旗、飲食店の内側から見るのれん、印鑑の文字、

車のバックミラーに映る風景は全て逆文字の世界なのです。逆文字でも、きちんと楷書で

書かれた漢字であればある程度読むことはできます。ですが、平仮名しかも草書体などでは

もはや読解不可能です。筆記体で書かれた英文となると見当がつかなくなります。

ルネサンスの巨匠、モナリザで有名なレオナルド・ダ・ビンチの記録が全て鏡面文字であること

をご存知でしょうか?その理由は未だ謎のままですが、この逆文字を逆手に利用したもの

でなるほどと思ったのは、海外の消防車であれば『FIRE』警察は『POLICE』がフロントガラス

付近に描かれているのです。後ろから走行してくる車両をバックミラーで見ると正しい文字が

見えるので、一目瞭然にわかる仕組みなのです。右手書きの人が左手で文字を書くことはほぼ

ありません。ですが、たまたま左手書きをしたところ、スラスラと鏡面文字となった、という

医学論文がありました。ぜひ、皆さんもダ・ビンチのような天才なのかどうかを、左手で試しに

書いてみてはいかがでしょうか?