突然死を防ぐために

有名人の方が亡くなるとニュースで取り沙汰されることがありますが、皆さん覚えていますか?
前田健さん、人呼んでマエケンさんです。松浦亜弥のものまねをしたりしていた人で、44歳で
突然亡くなったのです。虚血性心不全という病名が報道されていましたが、その若さで亡くなるの?
という思いで驚きました。虚血性心疾患は狭心症や心筋梗塞などが代表的ですが、心臓を栄養する
血管に何かしらの閉塞が生じて、酸素や栄養が心臓に届かなくなってしまう病気のことを指します。
また、俳優で歌手の星野源さんもくも膜下出血を患ったことが記憶に新しいです。くも膜下出血も
心筋梗塞同様に突然命を失ってしまう病気です。発症翌年にも再発して生死の境をさまようほどの
重症で開頭手術を受けたとのことです。
突然死は、日本AED財団によると年間9.1万人の方が亡くなっており、1日200人、7分に1人が
心臓突然死で亡くなっているのです。令和4年の心疾患全体の死亡数は23万人で増加傾向にあります。
突然死の原因として危険性の高い脳血管疾患は約10万人と横ばい傾向です。著名人の方たちは、
健康意識が高く、食生活や運動習慣に注意している方も多そうですが、このような突然死は誰にでも
降りかかってしまうのです。でも、今月末まで受けることができる金沢市のすこやか健診があります。
健診の結果がなかなか理解しずらい場合はご持参いただくと説明します。放置してはもったいない!
サイレントキラー(静かな殺し屋)といわれる、高血圧症、糖尿病、脂質異常症には注意が必要です。
サイレントキラーが引き起こすものとして、心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血などがあります。
心臓や脳にダメージを受けると、即座に命を落としてしまうこともあります。
当院に通院されているIさんという方がおられます。社長さんで、社員のことをものすごく大事に思って
おられる方がいます。その方の社員さんが高血圧を放置して脳梗塞となり麻痺を生じたのです。
以後、社員さんに当院受診を勧めてくださり積極的に治療を行うようにしたり、家庭血圧測定のために
会社で血圧計を配布したりしているのです。さすがに驚きました。そこまで手厚い会社を知りません。
そして、社員を大事にする社長はなかなかいませんよ。真似をしろと言っているのではなく、
そこまで社員を大事にしている。つまり、自ら健康経営に乗り出しているのが素晴らしいのです!
その会社の方は幸せです。命、仕事に影響を与えることなく、サイレントキラーを抑え込む。しかも、
受診を強制的にさせてしまうことがすごいなと思いました。Iさんのような社長が増えれば、働き盛りの
方が病魔に倒れることは減っていくことと思います。見習おうと思います。