忘年会シーズン真っ盛り
今は1年のうちで、お酒との付き合いが最も多い時期でしょう。夜遅くにバスや電車に乗ると、忘年会帰りと思われる人でいっぱいで、そのほとんどの人が真っ赤な顔をして、酒気をプンプンとさせています。まさにバッカス(ギリシャ神話の酒の神)号です。愉快そうに話をしている人、つり革にぶら下がっている人、苦しそうな人、大きな口を開けて眠っている人など酔人百態を観察できます。適量のアルコールの飲用が、動脈硬化の予防に役立つことが言われるようになってから、酒飲みの家庭での発言力が急に強くなってきたようです。今まで我々医者の好きな「べからず集」には、”酒を飲むべからず”が必ず上位に入っていたのです。ですが、適量のアルコールは、血液中の善玉コレステロールであるHDLを増加させて、これが血管壁に付着している悪玉コレステロールを取り除くというのです。個々で一番大事なのが『適量の』ということです。どのくらいが適量なのかということは、簡単には言い切れないこともありますが、人にもよりますが、ホロ酔い気分になる量と考えておけばよいのではないでしょうか?ホロ酔い気分になる量も人によって違うのですが、割り切って、二、二んが四と覚えておくとよいと思います。日本酒なら2合、ビールなら2本、ウイスキーなら水割り4杯程度ということです。もちろん、基準は厳しいことは知っておりますが、これくらいの遊びを作らないとね~という私の願いも含めてです。入谷が「二、二んが四」までOKしたからな~といってすべて飲むのはダメです。都合よく解釈してはダメ。私が市立根室病院に勤めていた忘年会シーズンで北海道庁にお勤めの青年A君が忘年会のはしごで致死量に近いアルコールを飲んで意識不明となり、救急車で搬送されてきました。救急室に入った際は心臓がかろうじて動いている状態で、血圧も測定できないくらいに下がっていました。その後何度も心臓が止まり、呼吸も止まりかけ応援を読んでチーム一丸で必死の蘇生術を行い、かろうじて救命することができたのです。午前1時ごろに搬送されてきて、見通しがつき始めたのは空が白みかかっていたことを今でも覚えています。このことががあって以来、駅や道端で酔いつぶれている人たちを見るたびに、何事も起きなければいいなと心配になります。酒を上手に飲むことも社会人としての大切なマナーです。酒を百薬の長として、百害の長としないように心がけたい忘年会シーズンです。