2025.12.21

足袋は12月の季語

足袋(たび)という音だけ聞くと、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)のことかと思ってしまいます。医学の進歩は早いもので私が金沢に来る前にようやく大阪大学でも1例目、2例目をやり始めたところでした。当時はまだ国立循環器病センターでは1例もやっていなかったはずです。大動脈弁狭窄症の弁をカテーテル的に上から新しい弁を埋め込むという手技なのです。悔しいけれど開心術よりも圧倒的に短時間で終わることが利点なのです。フランス生まれのこの手技はTAVI(タビ)と呼ぶと赤ちゃん言葉になるようで現地ではTAVR(タバ―)というらしいです。話を戻すと、足袋は普通親指と人差し指のところが割れているだけではなく、全部の指がセパレートしているものもあります。以前日曜劇場で陸王(池井戸潤さん脚本)でも5本指のシューズが出てきました。五本指がもてはやされるのは、素足が感じられて「野生」が目覚めるだからでしょうか?フランス人も「le tabi」ということからすると、すでに「足袋」は日本人の着物を着るときだけ吐くものではないところまで来ているかもしれません。足袋は平安時代には単皮と書いて「た(ン)び」と呼ばれていたようです。鎌倉時代に書かれた「宇治拾遺物語」には、「サルの皮のたびに」という言葉がみられます。これから推察するにもともと皮でつくられていたもので、そうであるとすれば、一枚の皮でつくられたものであれば、ブーツも「単皮」と呼んでしかるべきだったのでしょう。現在のような親指とほかの指がセパレートタイプになっている布製の足袋、江戸時代の井原西鶴や松尾芭蕉が活躍し始める頃だと言われます。江戸時代は暑いときは足袋をはかずに、冬の寒さから身を守る防寒着として使われていたようです。だからこそ「足袋」は12月の季語なのでしょう。