2026.01.08

「十三里」はうまいねぇ~

金沢で生活していてクリニック周辺で「いしやき~いも~おいも~おいも~」というフレーズを聞くことはほとんどありません。畝田の自宅では時折聞くことがありました。地域性なのでしょうか?この焼き芋は江戸時代後期の庶民に大人気だったようです。なんといっても魅力は、その甘さ!江戸時代の浮世絵にも描かれたように当時の人々は、焼き芋のことを「十三里」と呼んだようです。これはなぜだかわかりますか?「栗(九里)」よりもはるかに甘いことが由来と言われています。九里よりうまい十三里とされています。我々が料理などに使用している砂糖が貴重な時代に、庶民の口にはほとんど届かなかった当時として甘い食べ物であったことが伺われます。加熱していないイモに含まれる糖の大部分はデンプンです。このデンプンを含む食物は加熱をすると甘みが増加します。コメやイモのデンプンは、そのままでは酵素により分解できない状態で貯蔵されていて、水と加熱により糊化(こか)されることで酵素が働きやすい状態に変化するのです。サツマイモ(金沢では五郎島金時でしょう)には、βアミラーゼという酵素を多く含んでいて、デンプンをマルトースへ加水分解します。マルトースというのは麦芽糖と言われるものです。この酵素が一番働きやすい温度が65~75℃であり加熱によりマルトースの生成がすすみます。さらにβアミラーゼが活性化されることで一気にマルトースが増えるのです。つまり美味しい焼き芋を作るには65~75℃をキープすることが大事なのです。電子レンジや蒸し器で急激に熱すると甘くならないのは、糊化とβアミラーゼによるデンプンの分解が進まないからです。ではジャガイモはなぜデンプンを多く含んでいるのに甘くならないのか?疑問に思いませんか?それは、ジャガイモに含まれるβアミラーゼの量がサツマイモよりも少ないからなのです。あ~久しぶりに食べたくなったなぁ~それにしても、なぜ四里たして十三里にしたのかな?素朴な疑問です。