2026.02.12

目をこすると目が悪くなる!?

これからスギ花粉症の方はゴールデンウィーク明けまで辛い時期になるかもしれません。アレルギー性結膜炎になるからです。もっとも、アトピー性皮膚炎の方も目が痒くなることはありますが、目を擦ることで炎症が起こりますので、余計に痒くなります。目をこする事で起こる重大な病態としては角膜の浮腫や、網膜剥離も起こる事があるのです。高齢者の方に多い腱膜性眼瞼下垂も習慣的に目をこすることに関連があるとされています。疫学的に目をこすることと明確に関連性がある病態として円錐角膜(えんすいかくまく)があります。なんじゃそりゃ?ですよね。思春期に好発する角膜が菲薄化や変形する病気です。医学生の時にはマルファン症候群、エーラスダンロス症候群といった膠原線維に問題ある疾患に多く認めると習いました。目をこする時には眼圧が高くなることはなんとなくイメージできると思います。正常な眼圧は10~21mmHgとされています。人間の目でリアルタイムに眼圧を計測することは困難なため、猿の目に埋め込んだセンサーで目をこする時の圧を測定した結果、眼圧は基準値よりも80〜150mmHgに上昇したのです。短期間であっても非常に眼圧が高くなるので緑内障と似た病態が生じます。目をこする習慣のある人は要注意で、冒頭にも記載したアトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎の他に、強迫性障害のような精神疾患が基礎疾患として考えられます。私はコンタクトレンズをしないので、コンタクトレンズを装着している人にも注意を促したいです。それは、装着前後に目をこする人が多いと報告されています。コンタクトレンズ装着による角膜炎症と相まって角膜損傷のリスクを高めるために注意すべきなのです。目をこする回数や長さについては他覚的に評価しやすいのですが、強さについては評価が難しいのが現状です。特に歩行時には力の調整が難しいのでハイリスクとなります。こする指についてもいわゆる第二関節(指先から2番目の曲がる関節)でこすった場合は、指先や爪の甲でこするよりも2.2~3.7倍の力が加わると報告されています。どうしても目をこすりたい時には、歩行時ではなく、指腹部(指紋のある方)で愛護的にこする事が勧められます。お試しする必要はないのですが、眼球から脳の視覚野までの経路を刺激することで擬似的な光覚が得られる事があります。視神経への圧迫でも誘発できるのですが、これをフォスフェンと呼びます。眼瞼の上から8~32mmHgの圧で眼球を圧迫するとフォスフェンが誘発されます。誘発できれば目をこする事で視力に与える可能性があることを体験できますが、これは視神経の悲鳴なのでオススメしません。残念ながらこの方法でフォスフェンを生じるのは69%の人だけなのです。