高齢の方の減塩ほど難しい
以前大阪の国立循環器病センター(国循)に勤めていたころ、妻が長女の妊娠出産に際して
自分の勤務する病院に、入院することとなりました。もちろん、病院食を食べていたので
「減塩きびしいかな?」と聞くと、「病院なのに塩っ辛い」と言っておりました。
大丈夫か?国循!と思いましたが、産婦人科だから甘いのかな?そんなものかと思うように
しました笑。もともと塩分の他界食事を摂っていた方に急に減塩食を出すと食欲がわかずに
食べる量が減ってしまうので、食事の量を維持しながらどこまで減塩できるのかがPointに
なります。特に心臓のご病気がある方、腎臓の疾患がある方は、血圧のことを考えるとやはり
減塩の効果は無視できません。
まずは、治療のために減塩が必要なんだ!ということを理解してもらわなくてはいけないのです。
高齢の方は今までの食習慣があるので、減塩=おいしくないとイメージされて、心理的な抵抗感が
あります。酸味や辛みをきかせることで減塩するテクニックもありますが、嚥下機能の器官が
働くきっかんけにもなるという面もあって有効ですが、やりすぎるとむせこんでしまい注意が必要です。
じゃあどのようなアプローチが効果的なのかを考えると・・・
食習慣を大きく変化することは拒否的な行動につながってしまうので、
味噌汁が好きな方であれば、まずは回数を減らしたり、みそ汁を飲むのであれば、同時に食卓に漬物や
干物を並べないようにするといった方法を提案いたします。
本当は、ご本人が一番減塩した方がよいということはわかっているのですが、腑に落ちないのです。
だから、塩分の摂りすぎによって腎臓・心臓にはこんな悪影響・負担がかかるんだということを、
検査の結果を見ながら減塩の効果を実感していただいたり、体重の増減を見たりしながらどこかで折り合いを
つけるしかないのです。
そもそも、高齢者の方は食事摂取量自体が少なくなっていることも多いので、食塩摂取量が1日6gだとしても、
食べる量が少なければ味付けは通常通りでOKという場合もあります。特に減塩しないで1食全体の量を半分にして
足りない分のエネルギーや栄養は栄養補助食品で補う方法もとることができます。
外来では話し合いながらすすめてまいります。一緒に頑張りましょう!!
1日当たりの食塩摂取の目標(推奨)量
18歳以上のの成人 男性7.5g未満 女性6.5g未満
高血圧の人 6g未満
慢性腎臓病の人 6g未満
WHOが推奨する目安 5g未満