ガラス越しはダメよ
訪問診療をしていると日中からカーテンを閉め切って部屋を暗くしている方もおられます(日中ですよ)。そういう方々には、そっとカーテンを開けて差し上げます(ありがた迷惑)。でも次の訪問にはまた閉まっているので「今度くる日には半分だけでも開けておこう」と促してご自宅を去ります。私の最初の説明が悪かったのかもしれません。「〇〇さん、太陽を浴びないとくる病になっちゃうよ〜、素っ裸になって新幹線に見せつけてやろうよ」ですが、この方女性で太陽に浴びることが習慣的にないとのことでした。なぜ、私が言う日光浴が大事なのかを今日はまとめます。骨代謝に関わる重要なビタミンのビタミンDは、日光浴による生体内での合成が可能なのです。厳密にはビタミンと言っていますがホルモンとして扱われることもあります。日光浴はビタミンD合成以外にもメラトニン分泌抑制を介して睡眠リズムを是正する効果などがあります。また、精神衛生上の効果も期待できます。国民健康・栄養調査報告(令和元年)によると日本人のビタミンD摂取量は3.4±8.6μg /日と標準偏差が大きく1日だけの調査だけだったからかもしれません。そこで小規模ながら16日間のデータから算出したビタミンD摂取量は8.6μg /日でした。食事中に含まれるビタミンDで多いものとしてイワシ、紅鮭、うなぎ、サンマなどがあります。日光浴をしなかった場合、通常の食事でビタミンDは補えるのかと思いませんか?潜水艦に乗っている人、日光暴露に乏しい北欧の人などは食事だけではビタミンDが不足するのです。不足する分は日光浴やサプリメント・医薬品で補充しなくてはいけません。食事からの摂取では不足するビタミンDの量をわかりやすく10μg /日とすると、顔面と両手の甲の面積に相当する600cm2の皮膚で日光を浴びた場合、10μgのビタミンD産生に必要な日光暴露は、皮膚に紅斑を起こす最小の紫外線量の3分の1に過ぎません。つまり日焼けになる前にビタミンD産生に必要な日光浴は終わるのです。時間にすれば夏の正午であれば10分以下です。半袖であれば日光に暴露する面積も倍になるので日光浴時間もその半分で済みます。たとえ日焼け止めを塗っていても夏季であれば必要な日光暴露を受けている可能性が高いのです。ですが注意しなくてはいけない点として、冬季にはビタミンDに必要な紫外線照射時間が非常に長くなり、つくば市で1時間以上、札幌市では4時間以上となるので意図的に日光浴が必要となります。冒頭の患者さんに日光浴をお勧めしていたのは室内からでしたが、ガラス越しにビタミンD合成に関する紫外線(UV-B)は通過しないので無意味なのでした。窓を開けて是非とも日光浴をお願いします。