ぐっすり睡眠は何処へ
皆さんは、いつもぐっすりと眠れていますか?外来でよく聞かれるのは「子供の頃のように眠りたい・・・」とか「どうしてぐっすり眠れないのだろう?」などなど、睡眠に対しては皆さん貪欲なようです。確かに、子供の頃は心地よい疲れと共に驚くほどにぐっすり眠った記憶はあるのですが・・・学生時代にどんなに眠っても、まだまだ眠れると思った人もおられるのではないでしょうか?実は、睡眠の質やパターンに関しては年齢と共に変わっていくものです。子供の頃や学生時代にあれほど気持ちよく眠れたのは、若い人ほど徐波睡眠が多いからです。徐波睡眠!?とお思いの方も多いのではないでしょうか?入眠後すぐに生じるのは、ノンレム睡眠。眠りの深さによって、ステージ1から3までの3段階に分けられます。このノンレム睡眠の際に脳をメンテナンスする時間です。その中で最も深い眠りであるステージ3が徐波睡眠なのです。この時間を長く取れると、質の良い睡眠と言えるのです。社会人になる頃にはもう少し浅い睡眠であるノンレム睡眠のステージ2が多くを占めるようになります。必要な睡眠時間も年々減少していきます。個人差はあるものの、30代になれば7時間半程度で済みますが、高齢者であればさらに短くなります。概日リズムも変化するので高齢になる程朝方にシフトしていき、中途覚醒も増えることがわかっています。つまり、病気ではなく生理的に(自然と)心地よい睡眠は取れなくなるのです。加齢による睡眠の変化は、女性で特に顕著です。女性には月経周期があって、月経直前〜月経開始時を「黄体期」と言います。黄体期は女性ホルモンのプロゲステロンの分泌がピークになります。この時期は日中の徐波睡眠が増加するので、仕事中にうとうとする事も珍しくないのです。50歳前後の閉経期には女性ホルモンが急激に減るので、眠気が感じにくくなる上、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすく不眠に悩まされがちです。高齢者の不眠の訴えは、よくあるのですが、高齢になると時間的な余裕ができ、早くベッドに入りがちです。そのため入眠に時間がかかる一方で、睡眠時間は足りていることが多いのです。私はよく外来で言うのですが、「眠たくなってから布団に入って下さい」。つまり、床上時間を減らす方法が有効です。睡眠日誌も有効ではあるのですが、継続性が困難なので私は取り組んでいません。主観と客観のズレが大きい人はその後の健康状態が悪いと言う傾向になります。自覚的には眠れているのに、実際には眠れていない人では、死亡率が高い報告もあります。怖いですね〜