意外とこわい脂肪肝
健康診断でAST(GOT)、ALT(GPT)が異常だったので・・・と来院される方も多いです。
このAST、ALTは肝臓に何らかの異常があって肝細胞がこわれているサインと捉えた方がよいでしょう。
ASTは肝臓だけではなく心臓やからだの筋肉にも含まれておりますが、ALTはほぼ肝臓由来なので
ALT優位の上昇であれば肝臓に異常があり、かつ脂肪肝の状態に陥っていることが多いです。
脂肪肝を放置していると炎症を引き起こして脂肪肝炎に移行してしまい、さらには肝臓を線維化
させてしまうのです。線維化が起こってしまうとその部分が肝硬変をきたし、肝臓がんを発症してしまう
場合もあります。脂肪肝の影響で大腸がんや乳がんのリスクが上昇するという報告もあり、早急に対策を
すべきなのです。「お酒を飲んでないから大丈夫だよ~」と思っている方も多いのではないでしょうか?
ここ最近学会でもよく話題になっているのがNAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)というものです。
NAFLDの原因は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病で、放置するとNASH(非アルコール性脂肪肝炎)に
移行することもあります。注意すべき点はASTやALTが正常値であっても脂肪肝になる場合もあります。
ALTが上昇してNAFLDがあった人よりも、ALTは正常なのにNAFLDがあるほうが2倍多いという報告もあります。
もはやここまで行くと、何のための健診なのかわからなくなります。正常値なのですから・・・
じゃあどうするの?ということですが、
①自分の体重の10%の減量によりほぼすべての脂肪肝が改善し線維化が改善したという報告もあるので、
まずはダイエットですね。それが難しいのはよくわかっています(笑)。
②BMIが25以上の人(肥満判定の方)、肝臓の酵素(AST,ALT)が基準値を超えていれば脂肪肝の疑いがあるので
超音波検査をうけて確認した方がよいです。きらきら光って通称bright liverと言われます。
③お酒を過度に飲まない。適度な運動をして食事に気をつけるようにする。
上記3点がPointになるのではないでしょうか。
NAFLD:「なっふるでぃー」と読む先生と「なっふるど」と読む先生がいます。
NASH:「なっしゅ」と読んでいます