恐怖のシャンプー
皆さんは、普通に洗髪の際にシャンプーを使っていると思います。私も使っています。ポンポンも使っています。ポンポンにはここ最近、トリマーの方が良い頻度で自宅前まで専用自動車で乗り付けて頂いてカット・シャンプーをして頂いております。大変助かります。今日の話題はその動物シャンプーです。2000年に報告された論文(West J Med.2000;173:86-7)から引用させていただきます。11歳の女児は6歳の頃に気管支喘息と診断されていましたが、発作は軽度であり、短時間作用性のβ2刺激薬のレスキュー(発作時のみ使用する)使用のみでコントロールできていたので、吸入ステロイドは使用していませんでした。入院当日、彼女は飼い犬をお風呂に入れてあげたそうです。犬のシャンプーにはノミやダニを殺すためにピレトリンが含まれているのですが、この時も0.2%ピレトリンを含むシャンプーを使用しました。この女児は以前にもこのシャンプーを使ったことがあったのですが、その時も軽度であるものの喘息症状を認めたようです。ですが、今回は前回と違い入浴後10分もすると強い呼吸困難感が現れ、重篤な喘息発作のために緊急入院となったのです。そのまま挿管・人工呼吸管理となりましたがあらゆる治療に抵抗性の発作であり、残念ながらシャンプーから暴露してから2時間半後に死亡したのです。亡くなった後の解剖では、気管支の中に著名な粘液栓があり、これが気管に蓋をしてしまったのです。気管支内には好酸球性・好中球性の炎症を認めるので気管支喘息が死因であることに相違はないとの結論でした。このシャンプー、ピレトリン入りと言いましたが、なんじゃそれ?犬を飼っている私も知りませんでした。でも日本ではピレスロイド(pyrethroid)としてよく知られています。除虫菊に含まれる有効成分ですが、ピレトリンの構造を変えて、効果を改良したものがピレスロイド剤です。昆虫の神経受容体に作用しますが、哺乳類の受容体に対する作用は弱く、昆虫をやっつける作用量では問題ないとされています。ピレトリンは喘息発作を誘発するアレルゲンとして決して有名な物質ではありませんが、呼吸器系、皮膚、眼に対して毒性があります。今回紹介したような致死的な事例は他にもあるので、私のような犬を飼っている人は、動物用のシャンプーに含まれる成分をその都度確認する必要性があるのです。殺虫成分を多く含むシャンプーは規制の対象にすべきという意見もあるくらいです。せっかくの動物のふれあいタイムで命を落としてしまうなんて可哀想ですね。