被ばく問題
患者さんからたま~に質問されることで、レントゲンの放射線って大丈夫なのでしょうか?
ということ。多くの人が健康診断で胸部のレントゲンを受けたり、胃のバリウム検査を受けたり
オプションの検査としてCT検査やMRI検査を受けたりしますよね?
MRIに関しては被ばくをしませんので大丈夫です。X線をつかわずに、大きな磁石の中に
体を入れて行う検査なので被爆とは無関係なのです。安心してください。当院にはMRIありません。
被ばくするのは、X線を使用するレントゲン検査とCT検査に限定されます。
被ばくで何が問題かということですが、放射線を浴びることで、体の設計図とされているDNAが
損傷してしまいます。そのダメージが大きいとDNA情報つまり遺伝情報が変化してしまうのです。
この遺伝情報の変化が、がんや白血病(血液のがん)を引き起こす原因となるのです。
じゃあ、ダメージが大きいってどの程度?ということですが、1回の被ばく量が100ミリシーベルト
を超すと発がんリスクを生じます。太平洋戦争の広島・長崎での原爆による被ばく量は地域によっては
200ミリシーベルトを超えました。そうです、「はだしのゲン」の世界です。
戦後数年たってから白血病やがんで人々がなくなってしまう現象がまさに高容量の被ばくです。
東日本大震災の原発事故も、市街地には100ミリシーベルトには到達せず、市民への影響は
ほぼなかったのですが、原子炉のスタッフは4000~6000ミリシーベルトの放射線を被ばくしており、
死亡または後遺症を引き起こしておりました。
気になる医療現場での被ばくは、レントゲン1回で約0.05ミリシーベルト、CTは胸部で6.9ミリシーベルト
程度とされております。一度に何回もCTをしなければ100ミリシーベルトに到達することはなく、
基本的には被ばくして症状が出現することはない検査なのです。
ただし、後遺症の報告はないもののCT撮影でDNAが損傷したというデータはあるので、何度も受けるのは
いただけません。当院では診断に必要な方にお勧めしております。
病気発見のメリットの方が上回るので、検査をやらずに病気を見逃してしまうことの方が、
大きな代償となるように思います。
もちろん、考え方しだいですが、適切なときに適切な検査を受けることが大事であると思っております。