ある日の発熱外来でのこと
先月の初め頃だったと思います。まだ寒いなぁと思いながら午後の発熱外来をしていました。
その中で、熱もあるのだけど調子が悪い。意識状態が良くないと夫に連れてこられた
60代半ばの女性がおられました。37度代後半でしたのでコロナ抗原検査、インフルエンザ抗原検査
を施行し、陰性であることを確認してから院内での検査を行いました。血液検査では炎症反応は陰性。
意識状態が悪く反応不良でしたが、神経学的には異常はありませんでした(麻痺などはなし)。
もちろん、髄膜炎なども疑って診察をしていましたがどうも様子がおかしいので、頭部CTを施行しました。
そこでくも膜下出血がわかったのです。すぐに、専門医療機関に救急搬送し手術をしていただいて
命を救うことができました。すぐに快く受け入れていただいて本当に感謝です。ありがとうございます。
このくも膜下出血は、医師国家試験には必ず出題されるほど重要な疾患であり、「突然、バットで殴られたような」
という強い頭痛が特徴とされております。実はこの方あまり頭痛がなかったので当初疑っていませんでした。
でも昨夜頭が痛いと夫に言ったと言われたので、精査のためにCT撮影したことが良かったのです。
私の親戚でも4人くも膜下出血で命を落としている人がいます。高確率ですよね。
原因は脳動脈瘤の破裂ですが、日本では人口10万人あたり、15.2人〜23人とされております。
世界の平均は9人とされているので残念ながら、世界ワースト1位となっています。
日本では、女性が男性の2倍多く、85歳以上ではその比率が5倍であり圧倒的に女性に多いことがわかります。
男性の発症ピークは55〜59歳、女性は70〜74歳です。60歳以上になると男女差が顕著になるので
女性ホルモンのエストロゲンが枯渇することに関係しているとされています。
発症すると30%の方が命を落としています。突然死の原因の一つなのです。
皆さんも、突然の頭痛には気をつけて下さい。