ヘルシー・ユーザー・エフェクト
皆さんは、helthy user effectってご存知ですか?
医療従事者でも知らない人がいるのではないかと思います。
医療サービスを利用している人(病院受診している方など)は、そもそも健康意識が高く、
健康状態も比較的安定している人であり、医療サービスを受けていない人と比べると、
予後が良好に見えてしまうバイアスのことです。
医療サービスを積極的に利用している人の方が、健康状態が良さそうと、くみ取られてしまう
ように結果が歪められてしまうのです。なになにどーいうこと???となっているかもしれません。
わかりやすくいうと、コレステロールの薬を内服している人は、本来であれば高脂血症(脂質異常症)
があるので健康的ではないのですが、定期的に病院に通院することで服薬管理が可能であり、健康に
対する関心が高く、身体機能や認知機能が一定レベルで維持されている人といえます。
実際、脂質異常症のお薬であるスタチン(クレストールやリバロ、リピトールなど)を内服しているでは
検診などの予防的医療サービスを利用する機会が多いと報告されています。
さらには、スタチンのアドヒアランス(患者が治療方針に賛同し積極的に治療を受ける状態)が良好
な人では交通事故のリスクが低いことを報告した研究もあります。興味深いですね。
昨日の話題の温泉ですが、healthy user effectを考慮すれば、慢性疾患に対する温泉入浴の有用性は
小さな効果であると考えた方が良いかもしれません。ですが、全く効果を期待できないと考えることも
時期尚早であります。温泉旅行を楽しんだり、温泉に浸かって気持ちが穏やかになったり、生活の豊かさに
資するのであれば、持病と向き合えるきっかけになりえるからです。温泉入浴は意味がない訳ではありません。
我々、日本人は温泉大好きなのですから・・・