2024.06.01

ボケない睡眠薬

5月8日のブログで「俺の話を聞いてくれ〜」を書きましたが、その際に出てきた

ボケない眠剤の話題をします。ここではっきり言っておきますが、ボケない・・・

ということになると嘘になります。100%ではないからです。

2023年3月に不眠症の治療薬であるスボレキサント(商品名:ベルソムラ)という薬剤が

アルツハイマー型認知症の予防薬に有用である可能性を示す臨床試験結果をまとめた

論文が米国で発表されました。

この薬は脳の覚醒を維持するのに重要なオレキシンという脳内物質のはたらきを抑える作用を

もちます。つまり、簡単に言うと眠りのスイッチを入れるようなお薬なのです(簡単に言えば)。

このオレキシンには認知症を進行させる作用のあることが動物実験で報告されており、これを

ターゲットにした認知症の治療薬の開発が進められているのです。

昨年末から上市されたレカネマブ(商品名:レケンビ)はアミロイドβに対するお薬なのですが、

アルツハイマー型認知症の場合、アミロイドβとタウ蛋白が蓄積するので、この両者を蓄積しない

ようにするのが認知症薬としての役目となります。

米国ワシントン大学で報告された研究では、スボレキサント10㎎、20㎎、偽薬(プラセボ)の3群

で2時間ごとに少量の脳脊髄液(脳の周囲のお水)を採取して1日半の変化をみたところ、

スボレキサントを投与した群は、アミロイドβ濃度とタウのリン酸化が抑制されたことが示されました。

長期的な認知症進行予防になるのかは不明ですが、一筋の希望にも感じるのは私だけでしょうか。

今後の研究の発展に期待しております。