CTとLet it be~~
当院にもCT装置を導入しておりますが、現在では研修医の先生が働くような
比較的大きな規模の病院では当たり前にあって、いつでも撮影できるところも多いと思います。
実はこれ、世界的には異常なことで、先進国の中でも日本のCTの数は世界一なのだそうです。
OECD(経済協力開発機構)の2014年のデータ(10年前ですよ!)では、人口100万人あたりの
日本のCT台数は107台で第1位。第2位はオーストラリアで56台、3位が米国で41台という結果
でした。日本にあるCTの総台数は当時でだいたいコンビニエンスストアの5分の1くらいにあたります。
ちなみに、MRIの数も日本は世界1位です。
私が医師免許をとったのが2002年で、医学部5年生の実習ではすでにCT画像が普通に見られました。
特に撮影に時間がかかるといったことも記憶にはございません。先生方は早くなったんだぞー
とかお話になっていたことを思い出します。少し前までは、脳腫瘍や脳卒中の診断は血管造営を
しなくてはいけなかったのですから、大進歩ですね。当院のCTも4列CTですが早くて綺麗な画像です。
このCTが誕生したのは1967年ゴッドフリー・ハウンズフィールド博士によって発明されたのです。
もちろん、1979年にノーベル生理学・医学賞も受賞しております。このハウンズ・フィールド博士は
英国のEMIの中央研究所の所属であったために、同じくEMI所属のビートルズの売り上げによる巨額の
利益がCTを生み出したといわれていますが、実はEMIがCTの開発に費やしたのは2000万円程度であり、
英国政府の保健社会保障庁は1億2000万以上費やしていたことがわかりました。つまり、ビートルズ
というよりも納税者に感謝すべきなのです。ですが、世界の音楽に大きな影響を及ぼしたビートルズ
なのですから、このお話は音楽ファンにとっては心温まる物語として、個人的にはそっとしておきたい
Let it be(そっとしておいて・構わないで・・・)の気持ちです。