血圧測定のタイミング
ある日の外来で・・・「先生!血圧測れっていうけど何回測ればいいの?」
そんな質問をされたことがあります。というか、結構皆さん気にされているのではないでしょうか?
私は外来で高血圧の患者さん、気にされている患者さんには家庭血圧測定を必ずお願いしています。
アナログな方にはヴィアトリス製薬の家庭血圧帳をお渡しして、デジタル派の方にはLINEアプリの
Dr.高血圧@LINEヘルスケア(ノヴァルティス製薬開発)に付けていただくようにしております。
基本は朝と寝る前に2回測定していただくことを基本としております。もちろん、仕事の都合で
朝は無理だわ~とか昼頃に帰宅してそれから寝るんだわ~などいろいろな方がいるので
個人個人のライフスタイルに合わせて血圧測定をお願いしております。
血圧はいろいろな条件(気温、体調、ストレス、時間帯)で容易に変動します。つまり、たまたま1回
血圧測定して高い、又は低いという場合があり、本当の普段の血圧の評価をすることは難しいのです。
血圧測定は、基本的には起床後と就寝前の2回の決まった時間にお願いしている理由として
睡眠中の血圧は体がリラックス状態であるため、通常は日中血圧よりも10~20%程度低くなります。
ですが、中には朝に血圧が高くなる早朝高血圧と夜間に血圧が高くなる夜間高血圧を示す人もいます。
通常、睡眠中に低下した血圧は起床に向けて上昇し、日中に活動を始めるとさらに上昇します。
ですが、早朝高血圧の方は、朝方に血圧急上昇し、しんぞうや血管に負担がかかるために心筋梗塞や
脳卒中リスクが高くなるという報告があります。また、夜間高血圧の人も睡眠中の血圧低下がみられず、
高値のままであることで、常に心臓や血管に強い負担がかかった状態になるのです。夜間高血圧の人
さらに心筋梗塞や脳卒中のリスクが高いと言われております。起床後と就寝前の2回の血圧測定は
正確な数値を知るだけではなく、上記の異常事態を早期発見するうえで推奨されているのです。
血圧測定の真の目的は、血圧手帳に良い数字を並べるのではなくて、脳、心臓、腎臓、大血管を
いたわりながら、生活習慣の改善や自己管理の向上につなげていただきたいのです。
ですので、血圧の値が気に入らないからと言って何度も測定するとか、神経質になってしまい不安が
高まってしまうこともあります。そんな時には、ご相談いただけましたら幸いです。