2024.06.10

アトムの心臓②

昨日の続きです。

人工心臓の開発は東大、大阪大などでもされていますが、学生時代の私が調べる限り

大阪の国立循環器病センター(国循)の研究所が国内では一歩進んでいるという印象でした。

母校の金沢医大総合医学研究所にも臓器置換研究部門もあり、阿久津先生の名前が

ありましたが、実体がないように思え国循での研究をするためにはどうすべきか?と考えました。

まずは心臓外科医としてトレーニングを受けるべきと考えて、東京女子医大の心研、

実家のある北海道の北大、札幌医大、旭川医大の研修を考えました。当時の旭川医大

は、医局員の先生のほとんどが国循でのレジデント生活を送っていることを伺って

旭川医大への入局を決めました。道内の病院を回り、医師6年目に国循での研修する機会を

得ることができたのです。大阪でのレジデント生活は想像を凌駕する生活で体調を

崩しました。隣の研究所でヤギや牛に人工心臓や補助人工心臓が埋め込まれているのを見学

させていただく機会もありましたが、もはや臨床医(患者さんを診る医者)になっている

私には研究医としての資質がないように思いました。また、患者さんと他愛もないお話を

している時間が楽しく貴重に思えて、外科よりも内科の方へシフトしたのでした。

アトムの心臓にでてくる佳美ちゃんのご両親の会社は、その後IABPという心臓を補助する

機械・カテーテルの開発で有名な東海メディカルプロダクツと社名を変えました。私自身も

IABPで何度もお世話になって事を思い出しました。あぁその会社が・・・という思いです。

娘を思う両親、姉妹の愛情、そして周囲のかけがえのない応援治療により支えられた佳美ちゃん、

人工心臓の完成には至らないまでも、みんなの力で多くの人間を救うことが可能になった

国産のIABPの開発秘話。本当に心が震えるお話です。映画館、書籍でどうぞご堪能下さい。

本当に普通の人が、大きなことを成し得た一大プロジェクトです。本当に感動する話です!!