アポロ計画と月アレルギー
今日は昨日に続き面白いアレルギー話を・・・
皆さんの中でマンガ『宇宙兄弟』を読んだよ~って方もおられるのではないでしょうか
実は、私読んでいません。でも月面探査のお話しも出てくるとかで・・・でも知りません。
月は地球からみているとツルっとした印象です。表面は当院の壁のようなうちっ放しの
コンクリートのような印象を持たれる方も多いのではないでしょうか?でも、実際のところ
”月の砂漠”という民謡があるように、月面には数㎝から数十mの厚さの砂状のレゴリスと言われる
堆積物に覆われております。簡単に言うと、流れ星が砕け散った後に、あるいは風化作用で
長時間かけて、砂れき状の物質が生じます。これがレゴリスの正体なのです。
お月様が太陽の光を反射して均一にピカピカ光っているのはレゴリスで覆われているからなのです。
このレゴリスが宇宙飛行士の月面作業を妨げていたようです。1969年にアポロ11号が人類初の
月面着陸に成功し、アームストロング船長が月面に降り立ちました。恐らく、その時にもレゴリス
が微細なうえに帯電性を有していることから宇宙服や実験機器・機材を故障させたかもしれません。
その後のアポロ13号は映画でもおなじみで、奇跡的に地球に生還できたお話ですが、
アポロ計画ラストミッションとなった17号は史上6度目の月面着陸に成功しました。
目的が地質学的調査と動物実験であり3日間にわたって月面に滞在したようです。
そのクルーの一人ハリソン・ジャック・シュミット飛行士は月面探査の後で着陸船に火薬のようなに
おいが立ち込め、くしゃみと鼻水が止まらなくなりました。涙があふれ、喉の痛みも自覚したことから、
レゴリスによるアレルギーと診断されました。その症状は月花粉症(luna hay fever)とされています。
レゴリスの形状がグラスファイバー状で、微細かつトゲトゲしく気道を刺激したり、呼吸器系臓器に
突き刺さって障害を来したりすることが知られています。
これは、アレルギーというよりはPM2.5と同じような働きでアレルギーの発症を助長している
可能性があります。月花粉症はアレルギー様であって真のアレルギーではないのかもしれません。
月面散歩には、防塵マスクを忘れないようにしなくてはいけませんね。