アフリカ人に大腸がんが少ない?
世界中で低糖質ダイエットがブームになっています。かなり前になりますが、アトキンスダイエットや
ケトン体ダイエットなどが有名だと思います。糖質の摂取を減らすことで体重を減らす効果を狙う
ダイエットです。確かに体重減少効果はあるものの、糖質制限のみで健康に良いのかと疑問に思い
ませんでしょうか?糖尿病のコントロールが不良の患者さんに糖質の摂取量、摂取タイミングを
指導することはありますが、糖質を完全に制限することで健康体になれるかどうかは不明です。
確かに肉をメインに食べることは糖質摂取を減らすことになるのですが、赤身の過剰摂取は、ガン・
動脈硬化のリスクを高めてしまいます。赤身の肉といっても哺乳類の肉のことで、鶏や魚の肉は
含まれません。大腸がん、膵臓がん、胆嚢がんのリスクとなることがわかっています。
赤身の肉は飽和脂肪酸がよくないのです。魚に含まれる不飽和脂肪酸は大丈夫です。
アフリカに話を戻しましょう。アフリカの田園地域では、大腸がん患者がほとんどいないのです。
理由は、赤身の肉をあまり食べないことと、食物繊維をたくさん食べていることだと考えられています。
米国人女性は平均18g /日、男性は平均15g /日しか食物繊維をとっていませんが、アフリカ人は、
平均50g /日もの食物繊維を摂取しているのです。ざっと3倍です。
米国の黒人とアフリカの黒人の食事を2週間だけ交換して大腸の変化を見る研究が英国のNature
に報告されていました。人種的には同じ黒人ですが、大腸がんの発症率が数十倍違うグループの比較
です。米国はジャンクフードを代表とする赤身の肉が多く食物繊維が少ない食事で、アフリカの食事は
赤身の肉が少なく食物繊維が多く含まれているのです。2週間の交換ダイエットでしたが、大腸粘膜に
劇的な変化がありました。米国食を食べると大腸粘膜に炎症が起こり、大腸粘膜細胞の増殖も起きて
いるのです。大腸がんの前駆状態を意味する腸内細菌の変化と化学物質の増加も見られました。
この結果から、赤身の肉を多く食べて、同時に食物繊維が不足すると大腸がんのリスクとなることの
証明となりました。肉を食べるな!ということではありません。食物繊維つまりお野菜も一緒に頂く
ことが大事なんですね。つまりはバランスが大事だということです。