コレステロールは悪なのか?
脂質の一つとしてコレステロールがあります。コレステロールというと「良くないもの」という
イメージがあります。私もこのブログで散々ダメじゃーんと否定してきたかもしれませんね。
ですが、生きていく上では必須な脂質の一つなのです。コレステロールは細胞膜の形成や脂肪・
タンパク質の吸収を促したり、男性ホルモン、女性ホルモンの生成の材料になったりと働きが
多岐に渡ることが知られております。1日に必要なコレステロールは1.5g程度であり、2/3は
体内で作られて、残りの1/3は食事から摂取しております。ではこのコレステロールどんな風に
体内を移動しているのか?実はコレステロールは血液に溶けないので、LDLとかHDLとかいう
乗り物によって運ばれるのです。この運ばれているコレステロールが皆さんご存知の
LDL(悪玉)コレステロールとかHDL(善玉)コレステロールなのです。LDLコレステロールは
全身に運ぶ方の乗り物で、全身にはこぶものが多ければ多いほど血管内部に溜まってしまい
動脈硬化をきたしてしまうのです。一方のHDLコレステロールは全身から回収される方の乗り物で
血管に付着した古いコレステロールを肝臓に回収するものです。少なすぎると回収が正常に行われず、
血管に残ってしまうことになります。善と悪というとなんだかいいものと悪いものというイメージが
先行してしまいますが、本来は善悪なく両者ともしっかり機能していることが大事なのです。
LDLコレステロールが多すぎたり、HDLコレステロールが少なすぎたりすると動脈硬化を
引き起こす場合があります。コレステロールが悪いのではなく、あくまでバランスなのです。
私の外来では、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比つまりL/H比をよく見ています。
割り算するだけですよ。それが1.5未満だと素晴らしいのですが、2.0を越すと動脈硬化が疑われ、
2.5を越すと血栓(血のかたまり)ができている可能性があるとされています。
このL/H比の改善にはウォーキングなどの有酸素運動が良いとされています。しかも、毎日30分以上が
望ましい、いや理想的だとされていますが、皆さんはお忙しいと思いますので、週に数回だけでも
効果があるとされているので、ぜひお試しを!ストレスや疲れで血中脂質の合成が促されるとも
言われていますので、気分転換や適度な休養も大事なんですね。
ぜひ皆さんもLDLをHDLでわってL/H 比を求めてみてはいかがでしょうか?