2025.01.23

ヘリウムガスの宴会芸

1月も終わりに近づいてきました。新年会も終わって・・・という方が多いのではないでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で忘年会も新年会もやっていませんよという会社はだいぶん少なくなって

きているのではないでしょうか。私が研修医の時には出し物を準備するために看護師さんと仕事終わりに

話し合いをしていた記憶があります。不思議と「なんでこんなこと?」なんて気持ちは微塵もなく

結構楽しんでいたのかもしれません。笑

ここ最近はあまり見かけなくなったような気がしますが、市販の変声用のヘリウムガスのスプレー缶を

見かけたことはありませんか?一気に吸い込んで話すと声が変わるという、余興で使われるアレです。

10年ほど前になりますが、BSasahiの番組収録中にアイドルグループの12歳の子がヘリウム混合ガスを

吸入した後に意識を失って倒れたという報道がありました。症状は、痙攣と意識障害ということで

現場は大変だったろうなと思いますが、診断は脳空気塞栓症とのことです。軽度の記憶障害が残った

のみで回復して社会復帰しているようです。この方は同時に広範囲の皮下気腫と縦隔気腫、気胸を認め

ヘリウム自体の毒性というよりは、鼻をつまんでヘリウムガスを一気に吸入したことによる気道内圧の

上昇によるものと考えられます。

ヘリウムそのものの毒性はないのですが、ヘリウム中毒は、純粋にガスを吸い込んだ時に高濃度の

ヘリウムが肺の酸素と置き換わることで、窒息をきたすことに起因します。つまり治療は高濃度の

酸素を吸入することが大前提です。変声用のガスはヘリウム80%、酸素20%でできていることが多い

ので、これだけの吸入で死に至ることはありませんが、お祭りなどの風船を膨らませるヘリウムガスは

100%ヘリウムなので問題です。外国では殺人事件や自殺にも使われることがあるようです。

私も面白いことが好きなのでヘリウムガスのお世話になったことは一度や二度ではありません。

アイドルでも体を張っているのだなという思いと、それくらいしないとTVには出られないのかなと

感心しました。良い子の皆さんは決して真似をしないで下さいね。