不死人間とガリバー旅行記
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の断りを、盛者必衰の
理をあらわす」これは、日本人であれば誰でも1度は音読をしたことがある、平家物語の冒頭です。
生きとし生けるものは、いつか必ず消滅するものが世の摂理であって、どんな勢いのある権力者で
あっても、死からは逃れられないことを表現しています。
人間の不老不死の話はいつか、このブログで竹取物語を例に出してしたような・・・ところで、
もし人間が不老不死になったら、どんな世界になるのでしょうか?みなさん考えたことあります?
アイルランド出身の作家ジョナサン・スウィフトは、ガリバー旅行記の中で不老不死の人間を
描いております。ラグナグ王国では不死人間ストラルドブラグの噂を聞かされて、最初は自分も
ストラルドブラグであったらいかに輝かしい人生を送れるであろうかと夢想します。しかし、
不死人間は不死であるものの不老ではないために、老衰から逃れることもできず、体も目も耳も
衰えて集中力も記憶力もなくなり、日々の不自由に愚痴を延々とこぼし、歳をとったが故の
無駄に強大な自尊心で周囲を見下す低俗極まりない人間になっていくのです。80歳で法的に死者
とされてしまい、以後どこまでも老いさらばえたまま、社会から厄介者扱いされている悲惨な境涯
をみて、ガリバーは「死は人間に与えられた救済なのだ」と考えるようになるというのがあらすじ
です。このガリバー旅行記を書いたスウィフトは71歳頃からめまい、難聴、記憶喪失に悩み78歳で
お亡くなりになります。脳血管性認知症が診断名と言われています。彼の遺言と遺産により
アイルランド史上初の精神病院である聖パトリック病院が設立されたのです。
ガリバー旅行記は、みなさんご存知のリリパット国編とブロブディンナグ国編とラピュタ、
バル二バービ、今日紹介したラグナグ、グラブダブドリッブ、日本編の三部に分かれています。
実は、高校に入学する前の春休みの宿題で洋書(ラピュタ国)を1冊渡され、翻訳しろ、入学後
すぐに試験というものをやらされました。正直、ジブリの「天空の城ラピュタ」が先行してしまい
全く頭に入ってこなかったです笑。