何を食べたらいいの?貧血編
本年度の診療は本日で終了です!来年は1月6日より診療開始となっています。
来年度もよろしくお願いいたします。ところで・・・
数ヶ月ほど前に鉄欠乏性貧血の患者さんが、婦人科と当院の2カ所通院するのが
大変で婦人科でまとめて鉄剤を処方してもらいます。今日の処方も要りません。と
言われました。患者さんにとっては診療の回数が減るし良かったのかもしれません。
ですが、なんとなく敗北感を感じてしまいました。栄養性の貧血のほとんどは
鉄欠乏性貧血であり、その多くが月経のある女性という特徴があり、稀ではありますが、
ビタミンB12や葉酸の欠乏、出血や慢性炎症などの別の要因が隠れていることもあります。
食生活や身体状況などを確認して、医療機関の受診が必要になります。普段の食事内容の確認
としては、鉄の補給源になる食品群が摂れているのかを確認します。
食品に含まれる鉄は、動物性食品に含まれる赤色素のヘム鉄とそれ以外の非ヘム鉄に
分けられます。ヘム鉄はそのままの形で吸収されるので体内での利用率が高く、非ヘム鉄は
ビタミンCなどにより還元され、酸性条件で吸収されるので吸収率が良くありません。
吸収の良いヘム鉄は赤色の色素を持つタンパク質で、肉であれば牛肉の赤身、魚であれば
青魚に比較的多く含まれます。食事内容でこれらの食品が不足していれば補う余地ありです。
次に豆類や種実類、緑黄色野菜が不足していないかを確認します。
鉄などのミネラルはあまり精製していない食品に多く含まれているので加工食品の利用が多い人も
鉄の摂取が不足しがちなのです。胃腸症状が生じにくいヘム鉄を配合している食品を勧めたい
のですが、牛もも赤身、鰯、カツオ、ゴマさば、そしてレバー(豚、鶏、牛)が代表ですね。
サプリメントで頑張る人もおられますが、過剰症への配慮が欠かさせません。人体は過剰な鉄を
速やかに排泄できないので長期的に肝臓、脾臓などに鉄が沈着して、肝臓に障害を起こす可能性
があります。また、鉄過剰状態であれば感染症のリスクも上昇させるので、耐用上限量を上回らない
ようにする必要があります。貧血って奥が深いんですよね・・・