2024.04.10

年寄り扱いするな!

高齢者は何歳からですか?

「72歳ですけど、元気ですから高齢者なんかじゃないよ〜」と思っている人は

結構多いのではないでしょうか?もちろん、口に出さずとも、心の中ではつぶやいているはず。

ですが、現在日本を含めて多くの国では65歳以上を「高齢者」と定義しております。

私も所属する日本老年医学会では2017年1月に65〜74歳を准高齢者、

75〜89歳を高齢者、90歳以上を超高齢者にしようと提言しました。つまり、

従来の65歳以上から75歳に引き上げようとするのです。

平均寿命で言うと令和4年の統計で男性81.05歳、女性87.09歳となっています。

実際に体力面で比較しても20年前の60〜65歳の人の身体能力は現在の70歳に相当します。

驚きです!この現象を「高齢者の若返り」とも呼んでいます。私が名付けたわけではありませんよ。

ですが、70歳は退職などでライフスタイルが大きく変化したり、人間関係、経済状況など周囲の環境

変化も顕著に現れます。まさに人生のターニングポイントなのです。

日常生活において健康上の問題で制限されることなく生活できる期間のことを健康寿命と言いますが、

男性72.68歳、女性75.38歳(内閣府発行高齢者白書2019)です。男女ともに70歳代で健康面の

大きな変化を経験する人が多いことがこのデータからも窺えます。これらからも70歳で元気なことは

もちろん素晴らしく、いいことなのですが、老いに対する準備を必要とする時期なのかもしれません。

日本のみならず、世界でも高齢化が進んでおり、60歳以上の高齢者は10億人をこえて、2050年には

20億人を超えると予測されています。

ただ、病気にならなければいい、健康に過ごせばいいと言うだけではなく、自立性や尊厳を保って、より良く生きる

ように考え方が打ち出されています。WHOでは「健康な高齢化の10年」として2030年まで採択されております。

健康に生きていくだけではなく、社会的・精神的にも確固たる地位を持った高齢者の方々の活躍が

今以上に期待できるのではないでしょうか?  今日は真面目すぎましたかね?笑笑

※Decade of healthy ageing (2020-2030)

高齢者が自らの自立性や尊厳を保ち、より良く生きることを目指し、相互協力のもと、

それに沿ったあらゆる取り組みを行うこと。