2025.04.28

幸福感と高齢者詐欺

面白い研究結果を目にしました。米国からの報告ですが、日本人に通用するかどうかはわかりません。

米国民35万人にインタビューを行って、幸福感の変化を調べた研究です。20歳以前まで高かった

幸福感は、20代で一気に落ち込み、40代から50代前半までが最低迷期となり、それを過ぎると回復。

85歳に向けて徐々に上昇します。U字曲線を描いて老年期にピークを迎えるのです。この傾向は、

配偶者の有無や子供の数などには無関係で普遍的な経年変化であることが興味深いなぁと思いました。

つまり、私ももう少し耐えれば幸福感が増してくるのか!と思った次第です。今も幸福感はありますが。

論語にもあるように、「四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳従う」と一節があり、

まさに、年齢を重ねるとどんなアクシデントが起きても冷静な対応が可能になり、生きることへの感謝

の気持ちが芽生えてくるのですね・・・まだまだその境地には至っておりません。

心は平穏そのものだけど、実はうつ病の患者さんの4割が60歳以上なのです。しかも、この数字は

治療を受けた患者さんの数値であって、日本国内で100万人の老人性鬱が見逃されているという指摘も

あるのです。なぜか?それは認知症と一見間違われていることが多いのです。実際、認知症の経過は

緩徐であるはずなのに数ヶ月で認知機能の低下があれば老人性うつを疑うべきだと思います。

スタンフォード大学からの報告で、マネーゲームをしているときの脳の反応は、損を予感させる状況の

時には若者が強く反応し、儲かりそうな時は若年者でも高齢者でも反応に差はなかったのです。さらに

実際に損をしてしまった時の反応も若年者と高齢者には差がない事から、損失そのものへの嫌悪感は

年齢を重ねても減っておらず、損を回避しようともしないのです。つまり、年齢とともに悪い感情が

減っていく結果は好ましいようにも見えますが、リスク管理能力には難点が残ります。高齢者が詐欺被害

に遭いやすいことを考えると、悪い感情も必要なのでは?と思います。とはいえ、本人が幸せに感じて

いれば何よりそれが一番なのでは無いでしょうか?詐欺自体がなくなることを祈っています。