耳掃除もほどほどに
皆さんは、耳掃除をどれくらいの間隔でしていますか?風呂上がりにしているよとか、してませんとか
いろいろご意見はあると思います。実際のところ、耳掃除でGoogle検索をしてみると、ある耳鼻科の
Drは耳掃除なんてしてはいけないとのコメントをされていました。それはそれで極端だなと思いつつ
読み進めてみると耳鼻科受診を勧めていました笑。そんな戦略もあるのか〜と思いながら、自分の事
を考えてみると私は以前より耳かきが好きで、デスクには黒綿棒を常に置いています。なぜ黒?と
思う方はぜひ今度使ってみて下さい。耳くそが取れたのがよく分かるので、喜びも格別です。
さて、耳くそのことを耳垢(じこう)と呼びます。この耳垢塞栓(つまってしまうこと)は、小児、
高齢者、知的障害者で頻度が高いことが言われています。補聴器の音孔が耳垢でつまっていることも
よくある話です。耳垢は乾いたタイプと湿ったタイプに分かれていて、耳垢塞栓は湿った耳垢でなり
やすく、米国では毎年約1,200万人が耳垢除去目的で医療機関を受診していると推測されています。
小児で耳垢塞栓が多いのは、外耳道(耳の穴)が狭いのが原因です。高齢者の原因はなぜでしょう?
それは、外耳の自浄作用が低下しており耳垢が貯留しやすく、耳垢によって聴力低下を起こしていても
華麗性難聴と考えて放置することも多いために耳垢塞栓を生じやすいと考えられています。
米国のナーシングホーム入所者の66%に少なくとも片耳の耳垢塞栓を認めており、そのうち80%が
除去により聴力が改善し、聴力の改善した群では有意な認知機能の改善も認めたと報告しています。
日本ではどうでしょうか?愛知県の一般地域在住者のデータでは、40歳代では5%前後の人に耳垢
塞栓を認めるのに対して、80歳代では15%前後でした。認知機能の低下がある人は、健常認知機能
の人の約2.3倍耳垢を多く認めました。つまり高齢者の場合は定期的な耳鼻科の受診で掃除が良い
のではないでしょうか。ちなみに私が医学生だった時の話。5年生で各科目を回るのですが、耳鼻科で
カメラを入れられた際に、外耳道(耳の穴)が真っ赤で、耳掃除のしすぎと言われてしまいました。
全くしないのもダメですが、やはり耳掃除しすぎもダメです。何でもほどほどが一番です。