2025.05.09
長寿の敵は…美食?
私の友人にフランス留学をしていた人がいます。言語の面で留学中に苦労したと言いますが、英語が
私と違って流暢なので苦労と言ってもさほどではないのでしょう。パリ…憧れますよ。そりゃ。
その彼が、フランスの医師の警句として「老人の寿命を縮める二大危険因子は、手だれ料理人と
年若き妻」というのがあるそうです。老年病学を専門にやっていた私にどう思うと質問してきました。
確かに、年を取ってからの美食は健康や寿命に悪いということは頷けます。昨年8月にも登場した
「オールドパー」のトーマスパーという老人の逸話は、ロンドンに招待され毎日お酒やお肉のご馳走で
接待されたところ、わずか1週間で死んでしまったのです。血液循環説を唱えたウイリアム・ハーベイ
がトーマスパーの遺体解剖をしたところ全ての臓器は健全であるために、死亡原因は贅沢な食事の
ためではないかと述べています。
ネズミに栄養過多の食餌を無制限に与えた群と制限して与えた群に分けて観察したところ、食事制限
なしで飼育された雌ネズミは雄ネズミよりもかなり長く生存しました。ですが、雌ネズミは食事制限
しても寿命はあまり伸びなかったのです。ところが、食餌を制限された雄ネズミは雌ネズミよりも
長生きしたのです。この研究をした米国コーネル大学のマッケイ博士は「必要なものは食べなさい、
そのあとで食べたいものは食べなさい。しかし、食べ過ぎないように…」と報告しているのです。
栄養が過多になるって幸せそうで、寿命を短くするのですね。あぁ難しい。