2024.01.03

震災被災地の健康問題について

 現在も懸命な復旧作業が継続されておりますが、地震それに続く津波、火災などにより

被災された皆様ならびに残念にもお亡くなりになられた皆様、そのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

皆様の安全と一日も早い復旧、日常生活への回復を心より申し上げます。

災害時の疾患発症には時系列があるとされております。

災害発生初日から数か月間にわたり、たこつぼ心筋症、肺塞栓症(昨日紹介しました)、

高血圧関連疾患(脳卒中や心筋梗塞・狭心症、大動脈解離、心不全など)が生じうるとされています。

特にこれら循環器疾患のリスクは、震災時には約1.5~2倍程度増加するとされています。

被災地では水道、電気、道路、トイレなどの生活インフラが整っていない状況も多いことをニュースで

目の当たりにします。そのような状況では「健康を」というよりも「命を」「生活を」というのが精一杯のことだと思いますが

災害時循環器予防スコア(SEDWITMP8)というものが紹介されておりました。参考になるかもしれません。

上記8項目をそれぞれ1点として、避難所単位、個人単位で6点以上を目指すことが望ましいとされております。

1.睡眠の改善 夜間は避難所の電気を消し、6時間以上の睡眠をとりましょう

2.運動の維持 身体活動は積極的に(1日20分以上は歩きましょう)

3.良質な食事 食塩摂取を控え、カリウムの多い食事を心がけましょう

4.体重の維持 震災前からの体重の増減を±2㎏未満に保ちましょう

5.感染予防 マスクを着用、手洗いを励行しましょう

6.血栓予防 水分を十分に摂取しましょう

7.薬の継続 降圧薬、循環器疾患の薬はできるだけ継続しましょう

8.血圧管理 血圧を測定し、140mmHg以上なら医師の診察を受けましょう

とはいうものの、そんなこと言ってられないというのが現状だと思います。

一日も早いライフラインの確保、皆様の安全に過ごせる日常の確保を心よりお祈り申し上げます。

Kario K:Disaster Hypetension. Circ J 76:553-562,2012

Kario K,et al : Development of a disaster cardiovascular prevention network. Lancet 378 : 1125‐1127,2011