いびきの延長

いびきは、寝ている時に気道(空気の通り道)が大きな舌根やのどによって塞がれる
(呼吸が邪魔される)ことで起こります。それがさらにひどくなって気道がピッタリと
塞がれてしまうと、呼吸の空気は物理的に通過できず、無呼吸に陥ります。これが、
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が起こる仕組みです。子供さんでもアデノイドや扁桃腺肥大
が原因で起こる(つまり治療可能)のに対して、成人のOSAは私のような肥満や飲酒など
一般的な生活習慣病リスクと同様の生活要因から起こる(治癒は期待しにくい)ので、診療上
区別されているのでしょう。一般には成人のOSAを指すことが多いと思います。OSAの他にも
稀に脳神経に原因のある中枢性のものがあります。通常、呼吸はぐっすり眠っていても
止まることはありません。眠って意識がなくなっても中枢神経が「吸って〜吐いて〜」を指示
するのです。ですが、心臓機能の低下や脳血管障害などがあると、睡眠時に睡眠時に中枢神経から
呼吸の指令がこなくなり、一時的に無呼吸になることがあります。これが中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
と呼ばれるものです。重要なのはチェーンストークス呼吸を伴うかどうか?ということなのですが、
このチェーンストークス呼吸というのは睡眠時に小さな呼吸から少しずつ大きくなっていき、
最大まで大きくなったあとで再び小さくなっていき、やがて完全に停止(睡眠時無呼吸)、そして
次の呼吸の再開後にもまた小さな呼吸から・・・と繰り返すものです。私が多く診ている重症の
うっ血性心不全(心臓の機能が低下していて肺にも水が溜まる状態)の患者さんの30〜50%に
このチェーンストークス呼吸が起こるとされています。チェーンストークス呼吸を一晩で何度も
繰り返すと、体の中の二酸化炭素が著しく増加して脳血管障害や心臓病を引き起こしやすくなります。
ひどい場合には中枢機能が極端に低下してそのまま呼吸停止に陥って死亡する危険もあります。
チェーンストークス呼吸がわからない方?ご家族の呼吸が怪しいなと思う方は、一度、画像をビデオに
撮影して外来でご相談ください。因みに、我が家のポンポンのイビキを妻が世界で初めて撮影に成功
しました。本当にただのイビキでした。犬なのに仰向けで寝て太っているのでOSAですね。笑