おいC うれC びたみんC
かぜの症状(咳、鼻水、咽頭痛など)で来院いただく患者様も多いのですが、
ビタミンC不足だからですかね~とお話になる方もおられます。ビタミンCを
しっかりとれていれば、丈夫な体なのに~~との思いからかもしれませんが・・・
そもそも本当に風邪にビタミンCが有効なのでしょうか?迷信なのでしょうか?
一説によると米国のライナス・ポーリングという物理化学者が1970年に
「ビタミンCが風邪予防に効果的である」と発表して以来ビタミンCなどの栄養素が
免疫力を高める効果があると明らかになってきました。
ビタミンを簡単に言うと「生き物が健全に成長し、健康でいるために大切な働きをする物質」
なのです。ビタミン自体は他の栄養素がうまくはたらくための縁の下の力持ち的な存在なのです。
体の中で自力で作り出すことができず、食べ物から摂取することが重要なのです。
じゃあビタミンCのはたらきは?ってことになりますが・・・
①抗酸化作用
②鉄分の吸収を促進させる。
③コラーゲンやコルチゾール(ホルモンの一種)を作り出す際の補助
④リンパ球の活性化
こんなはたらきを多岐にわたってしているので大忙しです。なんとなく風邪にも良さそうな感じです。
ですが、2013年に発表された論文で11,306人を対象とした研究で、ビタミンCを常に摂取していた群
と摂取していなかった群とでは風邪の発症率に有意差がなかった(統計的に意味のある差ではないということ)
ということが示されました。また、風邪にかかった後に治療薬としてビタミンCを摂取した場合の風邪の重症度
や罹病期間(風邪にかかっている期間)には法則性がないことが示されました。
つまりビタミンCを内服しても悪くないけど効果があるとも言えない!ということです。
ビタミンC以外にも風邪予防に注目され始めたビタミンとして
・ビタミンD
細菌やウイルスを攻撃する抗菌ペプチドを生成します。粘膜同士の接着力を高めるタイトジャンクションを
形成する物質を産生することで免疫力アップに効果を発揮します。
・ビタミンB
代謝ビタミンとも呼ばれており、細胞が活動するためのエネルギー産生に使われたり、粘膜皮膚を強化する。
・ビタミンA
粘膜で分泌されるIgA抗体の原料になる。
・ビタミンE
女性ホルモンの生成を助けたり、血行を促したり、細胞膜の損傷を防ぐことで免疫機能の維持にも関与しています。
などがあります(このほかにももちろん沢山あります)。
まとめると、風邪の早期回復や予防の観点からは絶対にビタミンCがよいというわけではありません。
上に書いたように他のビタミンも良い仕事をしてくれるのでしっかりと補給することが望ましいですね。