お・も・て・な・し
古いですね(笑)東京オリンピックの招致の際のスピーチでした。それはそうと。本日の話題は、
病院(Hospital:ホスピタル)と診療所(Clinic:クリニック)についてです。皆さんわかりますよね。
当院も、「いりたに内科かかりつけクリニック」なので診療所です。その語源は?意外と知らない
と思います。ホスピタルは「旅で疲れた見知らぬ人をもてなす場所」➡「病人を世話する場所」➡
「病院」と意味が進化してきました。一方のクリニックは、「傾く、もたれる、寄りかかる」を
語源として「誰かにもたれかかる必要のある人を収容する場所」➡「医療が必要な人が来る場所」➡
「病人用のベッドがある場所」➡「クリニック」と変化してきました。
ちなみにHospitalと語源を共有するHospitality(ホスピタリティ)は「親切やおもてなし」という
単語ですが、Hospitalで働く者の心構えを表しているとも言えます。「おもてなし」というと、
何を思い浮かべるでしょうか?私は冒頭の滝川クリステルしか思い浮かびません。
医療現場では患者さんのことを「○○さま~」と呼ぶところもありますよね。これは、「国立病院・
診療所における医療サービスの質の向上に関する指針」において「『患者の呼称の際、原則として
姓名に「さま」を付することが望ましい』(平成13年 厚生労働省通達)」という通達以来、全国的に
広まったとされています。確かにHotelの語源はHospitalと同じなので、病人を客とみなして
「お客さま」のかわりに「患者さま」というべきだという理屈なのかもしれません。ですが、
ホテルでの「客>従業員」の関係とは異なり、患者と医療従事者はできるだけ対等の関係「”=”」を
目指すべきだと患った者という意味の「患者」に尊敬語の「さま」をつけるのはおかしくないですか?
違和感しか感じません。医療もサービス業の一つだという自覚をしているつもりの私でも「患者さん」
とお呼びして丁度よいと思っています。当院はクリニックですが、来院される人にはhostility(敵意)
ではなくhospitality(親切なおもてなし)をもって接しています。