お酒好きの人の肝機能
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。多少はダメージを受けても「痛い」とか「調子が悪い」と弱音を吐かないのです。つまり自覚症状が出にくいのです。つまり頑張り屋さんなのです。体内の化学工場と喩えられるほど多機能で、食べ物の栄養をエネルギーとして蓄えたり、アルコールや薬など有害な物質を分解して無毒化したり、さらに脂肪の消化を助ける胆汁という消化酵素を製造、分泌したりと休むことなく獅子奮闘の活躍をしています。皆さんは知っておられるでしょうか?肝臓が脅威的な再生力を持っていることを。肝臓の7割近くを切除しても、肝臓の機能が正常であれば、残り3割の部分の細胞が、ものすごい勢いで分裂・増殖をして、数ヶ月でほぼ元通りの大きさになって機能も回復するのです。他の臓器にはない肝臓ならではの力なのです。だからこそ、健診でAST、ALTが多少高くても落ち込んだり、寝込む必要はありません。飲み過ぎや食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣を見直して必要であれば薬を服用することで肝臓は持ち前の回復力を発揮して再び元気な肝臓に戻る事ができます。相談される事が多い脂肪肝は、まさにその典型例です。ダメージが浅いうちにきちんと対処することで肝臓の状態が驚くほど改善することもあり得ます。ところが、長年ダメージを受け続けていると慢性的な炎症を繰り返され、肝臓全体が硬くゴツゴツした状態の肝硬変になってしまいます。肝硬変になってしまうと自力での回復は不可能で、現代医学では肝移植しか方法はないのです。よく健診で示されている数値のAST、ALT、γーGTPのうちASTとALTをセットで見ています。そうするとよくあるのは2つのパターンです。ALTの数値がASTの数値よりも高い場合。つまり慢性的に肝臓が悪いことを示しています。代表例は脂肪肝。ALTはASTよりも血液中で分解されるまでに約3倍もの多くの時間がかかり、血液中に留まり続けるのです。つまり肝臓に炎症が起きていると自然とALTの数値が高くなるのです。次にASTの数値がALTよりも高い場合。これは直近で肝臓にダメージが加わった事が考えられます。アルコールで肝臓にダメージが加わった場合もASTが高値になりますし、栄養学的にビタミンB6が不足している時も、薬物の影響もあります。肝臓以外の心臓の筋肉や骨格筋に原因がある可能性も考えられるのです。肝臓って単純じゃないんです。明日はγ-GTPについて考えてみましょう!お酒の美味しい季節ですけどね。