2024.11.22
からだにいいものを・・・
健康のことを考えて、できる限り「体に良い食べ物」を食べるようにしているんです。」
と、よく外来で聞かれるワンフレーズです。栄養面からのアプローチで健康な生活を
しようとするのはとても良いことです。食べ物で体が作られているのですから・・・
ただ、インターネットやコンビニエンスストアの本コーナーにおいてある情報誌は
溢れかえっていますし、玉石混合で根拠が不明確なものもあります。実はそれだけ
専門家の意見も分かれており「体にいいものを食べる」と言うことは難易度が高いのです。
外来に通院されている70代後半の女性のエピソードを紹介します。自宅で一人暮らしを
している方で、食事が進まなくなってきたとのこと。食事内容は主食を玄米にされております。
玄米は好きなのかと問うと、「私は胃がんをしているし、手術後はがん予防のために玄米を
食べるようにしている」とのこと。この方は胃がんで幽門側つまり胃の下側2/3を切除
していたのです。この方のように胃や腸を切除している方は、健常な方よりも消化吸収能力が
落ちているので、玄米の籾殻は消化に悪く、胃切除をしている方には不向きなのです。
よく言われる「◯◯はガンに効く」とか「再発予防」などは確固たる根拠がなければお勧めできません。
この方のように、食が減って栄養失調の恐れがある方には、玄米食よりも「柔らかく炊いた白米」
をしっかり摂取いただく方がよっぽど大切なのです。この後、食べる意欲を取り戻し、食が楽しみ
になって元気に通院されています。食事って本当に大事なんですよね〜。